在宅で家族を介護される方 の防災はどう整えれば良いかご存じですか?厚生労働省や内閣府のガイドラインでは要介護者の 「移動の困難さ」「服薬管理」「夜間介助」 という独特の課題があるとされ、「介護する側のセルフケア」 も同時に整えることが望ましいとされています。
この記事では福祉避難所と一般避難所の使い分け を起点におくすりポーチ・防災安否確認カード・大人用おむつ長期保存の3点、そして 介護家族の「自分が壊れない」セルフケア を厚生労働省・内閣府の発表をもとに整理しました。
在宅介護家族の災害リスク
在宅で介護する家族は災害時に 5つの独特なリスク を抱える可能性があるため、介護家族視点で整理します。
在宅介護家族の災害時5つのリスク
| リスク | 内容 |
|---|---|
| ① 避難判断の難しさ | 要介護者の移動が困難で在宅避難が現実的 |
| ② 夜間介助中の停電・断水 | オムツ交換・吸引・体位交換が困難 |
| ③ 服薬管理 | 多剤併用で災害時の処方確保が難しい |
| ④ 介護用品の備蓄 | おむつ・尿取りパッド・吸引器具 |
| ⑤ 介護家族の疲労 | 災害時に介護+自分の対応で限界 |
在宅避難が選ばれる理由
- 要介護者の 移動が困難(車椅子・寝たきり)
- 一般避難所は 介護設備が不足
- 介護用品の 持ち運びが大変
- 慣れた環境での 生活継続 が望ましい
- 内閣府指針では 「自宅が安全なら在宅避難原則」 とされる
在宅避難の考え方や支援の手引きは 内閣府「在宅避難者・車中泊避難者の支援に関すること」 で確認できます。

在宅での介護自体大変だけど災害時にはどうしたら良いの?

要介護者の移動が困難の場合は在宅避難になることが多いですね。夜間の停電・断水でオムツ交換や体位交換が大変になることや多剤併用の服薬管理も課題とされています。「介護する側の体力・精神力」も同時に消耗するので平時から備蓄と公的支援の準備をしておきたいですね。
「介護する側」の視点で備える
- 介護家族の 体力・精神力 の限界
- 「完璧を目指さない」 スタンス
- 公的支援(レスパイトケア・福祉避難所)の活用
- 平時から 「SOSを出せる関係」 を作る
災害情報を平時に整える
復旧情報・避難情報は 防災ラジオ で平時から経路を整えるのが望ましい。

次に福祉避難所と一般避難所の使い分け を解説します。
福祉避難所と一般避難所の使い分け
福祉避難所 は要介護者・障害者等の 特別な配慮が必要な人向け の避難所です。一般避難所との 使い分け を平時に理解しておきましょう。
福祉避難所と一般避難所の対応表
| 項目 | 一般避難所 | 福祉避難所 |
|---|---|---|
| 対象 | 全員 | 高齢者・障害者・要介護者・難病患者等 |
| 設備 | 体育館・公民館 | 特別教室・社会福祉施設・専用避難所 |
| 介護設備 | 基本なし | 介護ベッド・段差解消・専用トイレ |
| スタッフ | 一般職員・ボランティア | 介護経験者・福祉専門職 |
| 入所 | 直行可 | 事前指定で直接避難も可(要事前調整) |
数値・対象は目安・自治体差ありでお住まいの市区町村のホームページで最新情報を確認するのが望ましいです。
「直接避難」と従来の流れ
- 従来、福祉避難所は 一般避難所を経由する二次避難所 という位置づけが一般的だったとされる
- 令和3年(2021年)5月のガイドライン改定 で、指定福祉避難所をあらかじめ指定・公示 し受入対象として調整された人は 直接避難できる 仕組みが整えられるように
- 直接避難の対象になるには 個別避難計画など事前の調整 が前提とされる
- 指定状況には地域差があるため、お住まいの自治体にまず確認
詳しい指針は 内閣府「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」 で確認できます。
福祉避難所の事前確認
- 自治体の 福祉避難所リスト を平時に入手
- 自宅近くの 福祉避難所 の場所・連絡先
- 要支援者登録 の手続き
- 介護認定 がある方は優先対象
事前調整がない場合の家族の動き
- 直接避難の事前調整がない場合は まず一般避難所へ
- 受付で 「要介護家族がいる」 と伝える
- 支援判定後に 福祉避難所へ移動
- 自治体・地域包括支援センターとも連絡
在宅避難が望ましい場合
- 自宅が 安全(倒壊・浸水なし)
- ライフラインが 一定確保 できる
- 介護用品の備蓄 がある
- 要介護者の体調安定
これらが満たされれば 在宅避難 が望ましいと考えられます。
自治体補助制度の活用
- 介護ベッド・車椅子の 災害時搬出補助
- 福祉避難所への 送迎サービス
- 緊急通報装置 の貸与
- 制度は自治体差ありでお住まいの市区町村で確認
夜間介助中の停電・断水対応
夜間介助中の停電・断水は在宅介護家族にとって 特に対応が難しい場面 とされます。ここでは3つの対策を整理します。
夜間介助の3大課題
| 課題 | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 暗闇でのオムツ交換 | 見えない・濡れた手で操作 | LEDライト+ヘッドライト |
| 断水中の清拭 | お湯が使えない | 体拭きシート・ドライシャンプー |
| 吸引器の停電対応 | 充電切れリスク | 予備バッテリー・手動吸引器 |
夜間用LEDライトの配置
- 介護者の手元:ヘッドライト・首掛けランタン
- 要介護者の足元:常夜灯・床照射型
- トイレ動線:人感センサー型ライト
- 予備電池:単3・単4各複数本
水なしで体を清潔に保つ
- 体拭きシート:1回分100枚入りパック
- ドライシャンプー:泡・スプレータイプ
- 手指消毒ジェル:介助者の衛生確保
- 防災用品としても通用するためローリングストック向き
吸引器・医療機器の停電対応
- 充電式機器 は予備バッテリー必須
- 手動吸引器 を非常用に1台
- 医療機関に災害時運用 を平時に相談
- 在宅酸素療法の方は 酸素ボンベの追加備蓄 も視野
トイレ問題の備え
- 携帯トイレ + 大人用おむつ(後述・商品③)
- 凝固剤付きトイレシート
- 防臭袋(BOS素材等)で 臭い対策
- 介護家族の トイレタイミング も大事
夜間介助の体位交換
- 体位交換のタイミングを アラーム設定
- 介護者の 睡眠時間確保 も重要
- 災害時は 家族で交代制 を確立
- 介護家族1人で抱え込まない発想
「介護用品の見える化」備蓄
- 玄関・寝室・押入れに 分散配置
- 普段使いの 2〜3週間分 を備蓄
- ローリングストックで 使いながら備える
- 「足りないものリスト」を 冷蔵庫扉に貼る
商品① おくすりポーチ|持病薬1週間分の整理
おくすりポーチは 多剤併用 の高齢者・要介護者の薬を整理する基本グッズです。お薬手帳と一緒に保管して災害時の 持ち出し用 にも転用できます。

親の薬って何種類もあって整理が大変なんだよな…

多剤併用の方は朝・昼・夜・寝る前の仕切りがあるピルケース付きおくすりポーチが便利とされていますよ。お薬手帳のコピーと一緒に保管して非常持ち出し袋にもう1セット入れておくと安心です。災害時は別の医師に薬を見せる場面もあるのでお薬手帳は写真でスマホにも保存しておくのが良いですよ。
おくすりポーチの選び方4軸
| 軸 | 確認ポイント |
|---|---|
| ピルケース付き | 朝・昼・夜・寝る前の4回設定 |
| 収納力 | 1週間分の薬+お薬手帳が入る |
| 携帯性 | バッグに入る軽量サイズ |
| 耐久性 | 防水・防汚・洗える素材 |
多剤管理の運用
- 週1回 ピルケースに仕分け
- 朝・昼・夜・寝る前の 4タイミング
- 仕分け時に 飲み忘れ をチェック
- 家族で 「服薬確認」 を共有
災害時の持ち出し
- 普段使い1セット+非常持ち出し用1セット
- 非常用には 1週間分の薬 を備蓄
- お薬手帳のコピーを同梱
- かかりつけ医・薬剤師の 連絡先 も記載
持病薬の備蓄目安
| 期間 | 備蓄量 | 配置 |
|---|---|---|
| 3日分 | 最低ライン | おくすりポーチ(持ち歩き) |
| 7日分 | 推奨 | 一次持ち出し袋 |
| 14日分 | 慢性疾患の方 | 自宅備蓄+持ち出し |
「災害用予備処方」の相談
- かかりつけ医に 「災害用の予備処方」 を相談
- 自治体・薬剤師会の 災害時医療相談窓口 を平時に確認
- 災害時は厚生労働省の通知により、お薬手帳等で服薬内容が確認できれば処方箋なしで調剤 を受けられる可能性がある
「飲み忘れ防止」の工夫
- 服薬通知タイマーの活用
- 食事と同じタイミング で服薬
- 家族からの 「薬飲んだ?」 リマインド
- ピルケースの 空いた仕切り で確認
商品② 防災安否確認カード|介護情報まとめ
防災安否確認カードは 介護情報+連絡先をA4 1枚にまとめた カードです。災害時に 避難所スタッフ・救急隊・医師 が一目で必要情報を把握できる仕組みです。
防災安否確認カードの記載内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本情報 | 氏名・生年月日・血液型・住所 |
| 介護度 | 要介護度・障害等級 |
| 持病・アレルギー | 病名・服薬中・アレルギー履歴 |
| かかりつけ医 | 病院名・電話・診察券番号 |
| 緊急連絡先 | 家族・親族・施設の電話 |
| 介護サービス | ケアマネ・訪問介護事業所 |
| 必要な配慮 | 移動・コミュニケーション・食事 |
カード化の3つの利点
- 一目で確認 できる(救急時・避難所受付)
- 本人が話せない場合 の代弁
- 家族不在時に 救急隊への情報提供
- A4 1枚 にラミネート加工が現実的
ラミネート加工のすすめ
- A4サイズ で 耐水性 を確保
- 2部作成:1部はおくすりポーチ・1部は冷蔵庫扉
- 内容更新は 半年に1回
- 家族のスマホに 写真保存 も推奨
「冷蔵庫扉に貼る」運用
- 救急隊が 最初に確認する場所
- 「救急医療情報キット」として 筒に入れて冷蔵庫保管 する自治体も
- 冷蔵庫扉に 「カードあります」シール
- 玄関にも同じシールを貼る
自治体の「救急医療情報キット」
- 65歳以上に 無料配布 する自治体多数
- 円筒形プラスチック容器に 情報用紙 を入れる
- 多くの自治体で冷蔵庫保管 とされる
- 詳しくは自治体の 高齢福祉課 で確認
カードの更新タイミング
- 服薬変更時:新しい薬の追加・削除
- 入院・退院時:診療情報の更新
- 要介護度変更時:介護度・サービス変更
- 緊急連絡先変更時:家族転居等
- 半年に1回の 総点検 が望ましい
商品③ 大人用おむつ・尿取りパッド長期保存
大人用おむつ・尿取りパッドは 在宅介護の必需品 で災害時の供給途絶に備えて 2〜3週間分 の備蓄が望ましい。
大人用おむつの選び方3軸
| 軸 | 確認ポイント |
|---|---|
| タイプ | テープ型(寝たきり)/パンツ型(自立歩行)/フラット型 |
| 吸収量 | 1回分/2回分/長時間用 |
| 保管期間 | 開封前2〜3年/長期保存対応もあり |
在宅介護の備蓄目安
- 普段使いの 2〜3週間分 を備蓄
- ローリングストックで 使いながら備える
- 災害時の供給途絶に 2週間 は耐える想定
- 1日6〜10枚 × 2週間 = 84〜140枚
「長期保存対応」の防災用パック
- 防災用パックは 3〜5年保管 対応
- 真空パックで 湿気・劣化を防ぐ
- 普段使いとは 別枠 で備蓄
- 避難所への持ち出し用にも
防臭袋(BOS素材等)との併用
- 使用済みおむつは 臭いが強い
- BOS素材防臭袋で 二重包装
- ゴミ収集再開まで 自宅保管 が前提
- 携帯トイレ記事の運用と同じ発想
介護用品の備蓄リスト
| 品目 | 1日の目安 | 2週間分 |
|---|---|---|
| 大人用おむつ | 6〜10枚 | 84〜140枚 |
| 尿取りパッド | 4〜6枚 | 56〜84枚 |
| おしり拭き | 1〜2パック | 2〜4パック |
| ビニール袋・防臭袋 | 6〜10枚 | 84〜140枚 |
| 使い捨て手袋 | 数組 | 1箱(100枚) |
数値は目安・個人差ありで要介護度・体格・水分摂取量で変わります。
「介護家族のおむつ・生理用品」も忘れずに
- 介護家族の 生理用品
- 使い捨てショーツ
- 大人用紙おむつ(介護者自身が外出困難な場合)
- 家族全員の トイレ問題 を視野に
保管場所の工夫
- 押入れ・寝室・物置 に分散
- 湿気の少ない場所
- ローリングストックで 古いものから消費
- 配置を 「介護家族の手の届く場所」 に
高齢の家族の備えは、こちらの防災グッズのまとめもあわせて参考になります。

お薬手帳のスマホ+紙 二重運用
お薬手帳の運用は スマホアプリ+紙のコピー の二重運用が望ましい。災害時に スマホ電池切れ や 紙の紛失 どちらの場合にも対応できる仕組みです。
お薬手帳「二重運用」の3つのメリット
| メリット | スマホアプリ | 紙のコピー |
|---|---|---|
| 携帯性 | 軽量・常時携帯 | リュック・財布に入る |
| 更新の容易さ | 自動更新 | 都度コピー |
| 災害時の冗長性 | 電池切れリスク | 充電不要 |
両方を 同期 で運用するのが望ましい。
お薬手帳アプリの選び方
- eお薬手帳(日本薬剤師会公式・eお薬手帳3.0)
- お薬手帳プラス(日本調剤)
- EPARKお薬手帳(QRコード読み取り対応)
- 家族複数人で 同時アクセス 可
紙のコピーの保管場所
| 場所 | 保管理由 |
|---|---|
| 本人の財布 | 普段携帯 |
| おくすりポーチ | 服薬時に確認 |
| 非常持ち出し袋 | 災害時の即時持ち出し |
| 冷蔵庫扉 | 救急時に救急隊が確認 |

「写真クラウド保存」の併用
- お薬手帳の 写真 を撮影
- Google Photos / iCloud にクラウド保存
- 家族複数人で 共有アルバム
- 災害時に 遠方の家族 も確認できる
お薬手帳の更新タイミング
- 新しい処方を受けた時
- 薬剤変更(用量・銘柄)
- 新しい医療機関 にかかった時
- 半年に1回 の総点検
かかりつけ薬剤師との連携
- お薬手帳を 毎回提示
- 重複処方・相互作用 をチェック
- 災害用予備処方 の相談
- 24時間対応の 薬剤師連絡先 を平時に確認
「家族の薬の二重運用」も
- 介護家族 自身の薬 も同時に管理
- 介護家族の 健康診断 の記録
- 持病の 発作時対応 マニュアル
- 「自分が倒れたら誰が薬を出すか」も決める
介護家族の「自分が壊れない」セルフケア
介護家族のセルフケア は要介護者の防災と同じくらい重要とされます。「介護する家族が倒れたら本人も困る」という発想で 「自分が壊れない」備え を平時から整えておきましょう。

介護で疲れてるのに災害準備までできないよ…

完璧を目指しすぎなくても大丈夫。地域包括支援センターのレスパイトケアや自治体の災害時要支援者登録など公的支援を活用するのが現実的です。「介護する家族が倒れたら本人も困る」という発想で自分を守ることも家族を守ることだと考えてくださいね。
介護家族のセルフケア3軸
| 軸 | 内容 |
|---|---|
| 平時のレスパイト | 短期入所・デイサービス・訪問介護で休む |
| 災害時の役割分担 | 家族・親族・地域で介護を分散 |
| メンタルヘルス | 「完璧を目指さない」スタンス |
レスパイトケアの活用
- ショートステイ(短期入所)
- デイサービス(日帰り介護)
- 訪問介護(自宅でのプロ介助)
- 介護休暇制度(仕事との両立)
地域包括支援センターの活用
- 介護の 総合相談窓口
- ケアマネジャーの マッチング
- 災害時の 要支援者登録 窓口
- 平時から 「顔が見える関係」 を作る
「SOSを出せる関係」を平時に作る
- 家族・親族との 連絡網
- ご近所への挨拶 と協力依頼
- 自治会・民生委員との 顔つなぎ
- 「困った時はお願いします」の 平時の伝達
離れて暮らす高齢のご家族がいる場合は、見守りグッズの活用もあわせて検討すると安心です。

「完璧を目指さない」スタンス
- 災害時は 「最低限の介護」 に切り替える
- 普段の 完璧な介護 は無理がある前提
- 介護家族の 「休む権利」 を肯定
- 「自分を責めない」 メンタル
介護家族の身体ケア
- 腰痛・肩こり の予防(介助動作)
- 十分な睡眠
- 食事と水分補給
- 自分の 健康診断 を欠かさない
「介護家族のメンタル」を支える仕組み
- 介護家族の 相談窓口(自治体・NPO)
- 介護家族の集い(経験共有)
- オンライン相談(時間制約なし)
- 「話せる相手を持つ」 が肝心
災害時の「家族で交代制」
- 介護を 家族・親族で分担
- 1人で抱え込まない
- 災害時は 離れて暮らす家族 にも応援要請
まとめ
在宅介護家族の防災を整理しました。
- 5つの災害リスク:避難判断・夜間介助・服薬管理・介護用品備蓄・介護家族の疲労
- 福祉避難所:令和3年改定で指定福祉避難所への直接避難も可(個別避難計画で事前調整)
- 夜間介助対応:LEDライト・体拭きシート・吸引器予備バッテリー
- 商品3点:おくすりポーチ(多剤管理)/防災安否確認カード(A4 1枚)/大人用おむつ長期保存(2〜3週間分)
- お薬手帳二重運用:スマホアプリ+紙のコピー+写真クラウド保存
- 介護家族のセルフケア:レスパイトケア・地域包括支援・「完璧を目指さない」
在宅介護家族の防災は 「介護する側のセルフケア」 も同時に整えるように心がけていきましょう。ご家族と一緒に介護と防災の両立を話し合ってみてはいかがでしょうか。
非常持ち出し袋・備蓄の基本は関連記事もあわせてご参考ください。



