玄関の鍵、ひとつだけで安心していませんか?
防犯の世界には「ワンドア・ツーロック」(ダブルロック、二重ロック)という言葉があります。聞き慣れない方も多いかもしれませんが、空き巣対策のとても大切な考え方で警察も広く勧めているものです。
この記事ではワンドア・ツーロックの意味と、なぜ鍵を2つにすると効果があるのかを警察が公表しているデータをもとに解説します。あわせて賃貸住宅でもできる補助錠の選び方や取り付け方、鍵以外の防犯のヒントまでまとめました。難しい知識はいりません。今日から見直せる身近な防犯の話となります。
ワンドア・ツーロックとは
ワンドア・ツーロックとは、1つのドアに鍵を2つ付けておくという防犯の考え方です。「1ドア2ロック」「ダブルロック」とも呼ばれます。
もともと付いている主錠に加えて、もう1つ「補助錠」を取り付けるのが基本のかたちです。玄関だけでなく勝手口や窓にも応用できます。警視庁をはじめ、各地の警察が侵入対策として勧めている防犯の合言葉のひとつです。
ひとつの鍵が壊されても、もうひとつの鍵が残っていれば侵入までにかかる時間はぐっと長くなります。空き巣にとって時間は最大の敵ですから、この「もう1つ」がそのまま防犯力につながります。なお、同じ鍵を2つ付けるよりも仕組みの違う鍵を組み合わせるほうが効果的とされます。
わざわざなぜ鍵を増やすのでしょうか。その理由は空き巣の「行動の特徴」を知ると見えてきます。
なぜ鍵は2つ? 空き巣のデータで見る効果
空き巣は「時間」を何より嫌う
空き巣は侵入に手間取ることをとても嫌います。茨城県警察は **「侵入口の防犯設備が破壊行為に『5分』耐えることができれば、約7割の泥棒が侵入を諦める」**と公表しています。
つまり鍵が2つあって開けるのに時間がかかりそうだと分かれば、それだけで多くの空き巣はあきらめて立ち去るということです。さらにドアに鍵が2つ付いているという「見た目」そのものが「この家は手間がかかって面倒そうだ」という強い抑止力になります。
なぜ時間がそれほど大切なのでしょうか。空き巣は誰かに見られたり声をかけられたりすることを何より恐れます。侵入に手間取るほど、その「見つかるリスク」は高まっていきます。だからこそ、こじ開けに時間がかかると分かった時点で多くは引き返すのです。逆にいえば鍵が1つで簡単に開きそうな家は、それだけ狙われやすいということでもあります。
出典:侵入窃盗(茨城県警察)
侵入口は「窓」と「玄関」、しかも無施錠が最多
どこから侵入されるのかもデータを見ると対策のヒントになります。警察庁の「住まいる防犯110番」によると住宅への侵入口は窓と表出入口(玄関)で大半を占めます。
そして手口で目立つのが鍵をかけ忘れた窓や玄関から入る「無締まり(無施錠)」と窓ガラスを割って入る「ガラス破り」です。住宅の形態によって順位は入れ替わり、共同住宅(3階建て以下)では無締まり、一戸建て住宅ではガラス破りが上位を占める傾向があります。どちらにしても「鍵のかけ忘れ」と「窓」が大きな弱点であることに変わりはありません。
空き巣というと留守宅を狙うイメージですが、在宅中に入り込む「忍び込み」や就寝中をねらう手口もあります。窓を少し開けたまま寝てしまう、ゴミ出しの数分だけ玄関を開けておく――そんなわずかな隙が侵入のきっかけになります。短い外出でも欠かさず施錠する習慣が大切な基本です。

鍵を2つにする前に、まず「かけ忘れ」をなくすことが大事なんだね。

そのとおりです。どんなに鍵を増やしても、かけ忘れていては意味がありません。ワンドア・ツーロックは「きちんと施錠する」習慣とセットでこそ効きますよ。
狙われやすい家には特徴がある
空き巣は、やみくもに家を選ぶわけではありません。下見をして「入りやすそうな家」を狙う傾向があります。次のような家は相手にすきを与えやすいといわれます。
- 死角が多い:高い塀や植え込みで外から見えにくい。
- 留守が分かりやすい:郵便物がたまっている、夜になっても電気がつかない。
- 足場になるものがある:物置やエアコンの室外機が2階の窓への足がかりになる。
- 鍵が1つだけ:短い時間で開けられそうに見える。
空き巣は、こうした条件を昼間の下見でチェックしているといわれます。インターホンを鳴らして留守を確かめたり、ポストや表札から生活ぶりをうかがったりする行動も知られています。逆にいえば、外から「人の気配」や「手間がかかりそうな様子」が伝わる家はそれだけで候補から外されやすくなります。鍵を2つにすることは、こうした下見の段階で「この家はやめておこう」と思わせるという分かりやすいサインにもなります。
裏を返せば、これらを減らしていけば「狙われにくい家」に近づけます。ワンドア・ツーロックは、そのなかでも費用をかけずに始めやすく効果の分かりやすい対策だといえます。
ワンドア・ツーロックの作り方
鍵を2つにするといっても大がかりな工事は必要ありません。いちばん手軽なのは補助錠を足す方法です。
- 玄関・勝手口:既存の鍵の上や下に補助錠を1つ追加する。
- 窓:窓用の補助錠(サッシに付けるタイプなど)で、こじ開けやクレセント錠破りに備える。
- 引き戸:戸を動かせないようにする専用の補助錠がある。
補助錠にはいくつか種類があります。ドアの面に取り付ける「面付(めんつけ)錠」、つまみを回して外から開ける手口に備える「サムターンカバー」、鍵穴をいじる「ピッキング」に強いタイプなどです。窓には、サッシにはさんで動きを止めるタイプやガラスを割られても侵入に時間をかけさせる「防犯フィルム」を組み合わせるとより安心です。どれも数百円から数千円ほどで始められますしホームセンターや通販で手に入ります。
ポイントはできれば種類の違う鍵を組み合わせることです。同じタイプの鍵が2つだと空き巣は同じ手口で続けて開けてしまうおそれがあります。違う仕組みの鍵を組み合わせると手間と時間が増えて諦めさせる効果が高まります。
取り付ける位置にもひと工夫あります。主錠と補助錠は、できるだけ上下に離して付けるのがコツです。2つの鍵が近くにかたまっているとドアのすき間に工具を差し込んでこじ開けるとき、同じ一か所への力で両方ともこじ開けられてしまうことがあります。上と下に離しておけば空き巣はそれぞれ別に手をかけなければならず、その分だけ時間を稼げます。
選ぶときの目安として「CPマーク」を覚えておくと便利です。CPマークは、警察庁などが関わる官民合同会議で侵入に時間がかかるなど一定の防犯性能が認められた建物部品に表示されるものです。補助錠や防犯フィルム、防犯ガラスを選ぶときの安心材料になります。
賃貸住宅でもドアや窓に穴を開けずに取り付けられるネジ留め式・粘着式・かんぬき式などの補助錠があります。退去時に外せるタイプを選べば原状回復の心配も少なくなります。
たとえば玄関の主錠から離して貼り付けるだけでワンドア・ツーロック化できる、賃貸でも使いやすい粘着型の補助錠があります。工事がいらず原状回復もしやすいので最初の一歩として取り入れやすいタイプです。
補助錠は玄関と窓で選び方のポイントが変わります。具体的な選び方は、それぞれの記事で紹介しています。


施錠忘れが不安ならばオートロックで二重化できる後付けスマートロックを組み合わせる方法もあります。こちらの SwitchBot の公式サイトも参考になります。
家のあらゆるシーンを簡単スマート化!【SwitchBot公式サイト】つけるときに気をつけたいこと
便利なワンドア・ツーロックにも、いくつか気をつけたい点があります。せっかくの対策を活かすために次の点を確認しておきましょう。
- 補助錠もきちんと施錠する:取り付けただけで満足してしまい、かけ忘れていては意味がありません。「2つともかける」を習慣にしましょう。
- 避難のじゃまにならないか:火災や地震などの非常時に家族がすぐ外へ出られることも大切です。とくに小さな子どもや高齢者がいるご家庭では操作のしやすさも確かめておきましょう。
- 賃貸は取り付け方法を確認:穴あけが必要なタイプは退去時のトラブルになることがあります。ネジを使わない、原状回復できる方式を選ぶと安心です。
- 定期的に点検する:鍵やネジのゆるみ、電池式の補助錠なら電池切れもときどき確かめておきましょう。
鍵だけに頼らない ―「時間・光・音・人の目」
防犯は鍵だけで完結するものではありません。どんなに頑丈な鍵でも、それ一つに頼りきりでは思わぬ死角が生まれます。空き巣がいやがる要素として、よく「時間・光・音・人の目」の4つが挙げられます。この4つをバランスよく重ねていくほど侵入のハードルは段階的に高くなっていきます。
- 時間:補助錠で侵入に時間をかけさせる(=ワンドア・ツーロック)。手間どるほど空き巣はあきらめます。
- 光:センサーライトで近づくと急に明るくなるようにする。暗がりは侵入者の味方です。
- 音:防犯砂利や窓の防犯ブザーで音が出るようにする。音は人の注意を引きます。
- 人の目:日ごろのあいさつや声かけで「見られている」と感じさせる。地域の目は強い抑止力です。
これらを組み合わせるほど「この家はやめておこう」と思わせる力が高まります。どれも特別な工事はいりません。できることから一つずつ増やしていくだけで、わが家の「狙われにくさ」は着実に高まっていきます。ワンドア・ツーロックは、その土台となる基本の一手だといえます。
まとめ
ワンドア・ツーロックについて、意味と効果・取り入れ方を見てきました。
- 意味:1つのドアに鍵を2つ。主錠+補助錠が基本のかたち
- 効果:侵入に5分以上かかると約7割の空き巣が諦める。鍵2つの「見た目」も抑止力に
- 侵入の実態:侵入口は窓・玄関が大半。手口は「無締まり(かけ忘れ)」が最多
- 作り方:賃貸でもできる補助錠を追加。種類の違う鍵を組み合わせると効果的
- 選び方の目安:CPマーク付きの、防犯性能の高い部品を選ぶと安心
- 鍵以外:時間・光・音・人の目を合わせて高める
特別な工事や大きな出費がなくてもできることはたくさんあります。まずは「施錠の徹底」と「もう1つの鍵」から。ご自宅の玄関や窓を一度見直してみてはいかがでしょうか。


