日本最古の津波記録はいつごろだと思いますか?
答えは 西暦684年(天武13年)の白鳳南海地震。『日本書紀』に記された南海トラフ地震の津波です。
日本は世界有数の津波被災国。古代から現代まで20件以上の大津波 が記録されています。
この記事では、白鳳南海地震(684)から東日本大震災(2011)まで 20件を時代区分5章で整理 し年表から見えてくる 「南海トラフ100〜150年周期」「三陸30〜40年周期」 の繰り返しパターンも可視化します。歴史を知ることは次への備えにつながります。
(ひととおり調査していますが間違った情報ございましたらご指摘ください)
日本の津波 全体年表20選
古代〜現代の日本で発生した代表的な津波20件を年表にまとめました。
気象庁「日本付近で発生した主な被害地震」を参考に整理しています。
| 西暦 | 年号 | 名称 | 震源域 | 規模 |
|---|---|---|---|---|
| 684 | 天武13 | 白鳳南海地震 | 南海トラフ | M8.0以上(推定) |
| 869 | 貞観11 | 貞観三陸地震 | 三陸沖 | M8.3以上(推定) |
| 887 | 仁和3 | 仁和南海地震 | 南海トラフ | M8.0以上(推定) |
| 1361 | 正平16 | 正平南海地震 | 南海トラフ | M8.4(推定) |
| 1498 | 明応7 | 明応東海地震 | 東海沖 | M8.2-8.4(推定) |
| 1605 | 慶長10 | 慶長地震 | 南海トラフ | M7.9(推定) |
| 1611 | 慶長16 | 慶長三陸地震 | 三陸沖 | M8.1(推定) |
| 1707 | 宝永4 | 宝永地震 | 南海トラフ全域 | M8.4-9.3 |
| 1771 | 明和8 | 明和の大津波 | 八重山近海 | M7.4(推定) |
| 1854 | 安政元 | 安政東海地震 | 東海沖 | M8.4 |
| 1854 | 安政元 | 安政南海地震 | 南海沖 | M8.4 |
| 1896 | 明治29 | 明治三陸地震 | 三陸沖 | M8.2(M_t8.6) |
| 1923 | 大正12 | 関東大震災 | 相模湾 | M7.9 |
| 1933 | 昭和8 | 昭和三陸地震 | 三陸沖 | M8.1 |
| 1944 | 昭和19 | 昭和東南海地震 | 東海-紀伊半島沖 | M7.9 |
| 1946 | 昭和21 | 昭和南海地震 | 南海沖 | M8.0 |
| 1960 | 昭和35 | チリ地震津波 | チリ沖(遠地) | M9.5 |
| 1983 | 昭和58 | 日本海中部地震 | 秋田沖 | M7.7 |
| 1993 | 平成5 | 北海道南西沖地震 | 奥尻島近海 | M7.8 |
| 2011 | 平成23 | 東日本大震災 | 三陸沖 | M9.0 |
詳しい記録は 気象庁「日本付近で発生した主な被害地震」 でも確認できます。古代〜中世のマグニチュードは古文書記録から推定された値で研究者により幅があるとされています。
世界全体の津波ランキング(リツヤ湾524m・明和85.4mなど)と比較したい方は関連記事もあわせてご参考ください。

古代(〜794年)の津波
古代の津波記録は 『日本書紀』『続日本紀』 に残されています。記録が断片的なため正確な規模は推定の幅がありますが、現代の南海トラフ・三陸地震研究の重要な手がかりです。
白鳳南海地震(684年・天武13年)
- 震源域:南海トラフ
- 規模:M8.0以上(推定)
- 記録:『日本書紀』
日本最古の津波記録 とされる地震です。
『日本書紀』には「土佐国に大潮が押し寄せ田畑が水没した」と記され、現在の高知県沿岸が津波で被災したことが示唆されています。南海トラフ巨大地震の最古例として重要な記録です。
貞観三陸地震(869年・貞観11年)
- 震源域:三陸沖
- 規模:M8.3以上(推定)
- 記録:『日本三代実録』
東北地方を襲った巨大津波 です。仙台平野で内陸数km地点まで津波堆積物が発見されており東日本大震災(2011)と類似する範囲で被災したとされています。「貞観津波の再来」が東日本大震災を予測する材料の一つだったとされる地震です。

1000年以上前の地震がどうして今の防災に関係してくるの?

貞観三陸の津波は東日本大震災とよく似た範囲を襲ったとされているんです。
だから「貞観の再来」として繰り返す可能性を考える手がかりになっているんですよ。
中世(794-1573)の津波
中世(平安〜室町時代)には南海トラフ地震が繰り返し 発生した記録があります。約100〜150年周期で襲ってきた様子が読み取れます。
仁和南海地震(887年・仁和3年)
- 震源域:南海トラフ
- 規模:M8.0以上(推定)
白鳳南海地震(684)から約200年後 の南海トラフ地震。『日本三代実録』に「海潮陸に漲り溺死者多数」と記録されています。京都の宮中まで被害が及んだとされる大地震です。
正平南海地震(1361年・正平16年)
- 震源域:南海トラフ
- 規模:M8.4(推定)
南北朝時代の南海トラフ地震。摂津・阿波・土佐で大津波が記録されています。阿波由岐湊(現・徳島県美波町)で「家屋千七百余流失」と『太平記』に記され、現在の南海トラフ被害想定の参考資料になっています。
明応東海地震(1498年・明応7年)
- 震源域:東海沖
- 規模:M8.2-8.4(推定)
戦国時代の東海地震。鎌倉大仏殿が津波で流失したとされる記録があります。浜名湖は明応津波以前は外海と遮断された淡水湖でしたが、津波で 砂州が決壊して汽水湖になった という説が有力です。
近世(江戸時代 1603-1868)の津波
江戸時代は 記録の精度が飛躍的に向上 し地震・津波の被害が藩政文書に詳細に残されています。南海トラフ・三陸・八重山・東海で大津波が記録された時代です。
慶長三陸地震(1611年・慶長16年)
- 震源域:三陸沖
- 規模:M8.1(推定)
- 死者:約5,000人
江戸時代初期の三陸大津波。伊達政宗の領内(仙台藩)で大被害を出しました。明治三陸(1896)・東日本大震災(2011)と同じ三陸沖の地震です。
宝永地震(1707年・宝永4年)
- 震源域:南海トラフ全域
- 規模:M8.4-9.3
- 死者:約20,000人
南海トラフ全域が一度に動いた史上最大級の地震。東海・東南海・南海が連動して破壊された巨大地震とされ津波は 房総半島から九州まで 太平洋沿岸に到達。49日後に富士山が宝永噴火を起こすという連鎖も特徴です。
明和の大津波(1771年・明和8年)
- 震源域:八重山近海
- 規模:M7.4(推定)
- 死者:約12,000人
- 遡上高:85.4m(日本史上最大)
遡上高85.4mで日本史上最大 の津波。八重山諸島・宮古諸島で島の人口の約3割が犠牲となり津波石(巨大なサンゴ岩)が内陸数百mまで運ばれた痕跡が残っています。
安政東海地震・安政南海地震(1854年・安政元年)
- 震源域:東海沖/南海沖
- 規模:両者ともM8.4
- 死者:約3,000人+3,000人
わずか32時間差で連続発生 した南海トラフ巨大地震。和歌山県広川町の 「稲むらの火」 (ヤマサ醤油7代目・濱口梧陵が稲わらに火をつけて村民を高台に避難させた逸話)はこの安政南海地震です。
近代(明治-昭和初期 1868-1945)の津波
明治以降は 地震計の観測 が始まり、震源・マグニチュードが科学的に記録されるようになります。三陸の周期性と関東大震災が際立つ時代です。
明治三陸地震(1896年・明治29年)
- 震源域:三陸沖
- 規模:M8.2(津波マグニチュードM_t8.6)
- 死者:約22,000人
- 遡上高:38.2m
「揺れは小さいのに巨大津波」 という特異な地震。「津波地震」と呼ばれるタイプで住民が地震を軽視し就寝中の家屋を直撃しました。
関東大震災(1923年・大正12年)
- 震源域:相模湾
- 規模:M7.9
- 死者・行方不明者:約105,000人
- 津波:熱海約12m・伊豆半島南端
首都圏を襲った大震災。火災被害が甚大でしたが相模湾沿岸でも津波が発生しています。熱海では約12mの津波が記録されており伊豆半島南端でも被害が出ました。
昭和三陸地震(1933年・昭和8年)
- 震源域:三陸沖
- 規模:M8.1
- 死者:約3,000人
- 遡上高:28.7m
明治三陸からわずか37年後 の三陸地震。明治三陸の教訓から避難が進んだとされ死者は明治の約1/7に抑えられました。
昭和東南海地震(1944年・昭和19年)
- 震源域:東海-紀伊半島沖
- 規模:M7.9
- 死者:約1,200人
戦時中の地震 で報道管制下に発生。被害情報が秘匿されたため「隠された地震」とも呼ばれます。安政東海(1854)から90年後の発生でした。
現代(戦後 1945-)の津波
戦後は 観測体制が整い・国際的な遠地津波 も記録されるようになります。チリ津波・日本海中部・北海道南西沖・東日本大震災と、現代でも大津波被害が続いています。
昭和南海地震(1946年・昭和21年)
- 震源域:南海沖
- 規模:M8.0
- 死者:約1,300人
終戦翌年の南海地震。安政南海(1854)から92年後の発生で南海トラフ100年周期が裏づけられました。次回の南海地震は 2030〜2040年代 と想定されています。
チリ地震津波(1960年・昭和35年)
- 震源域:チリ沖(遠地津波)
- 規模:M9.5(観測史上最大)
- 死者:約140人(日本)
- 遡上高:6m(三陸)
約22時間かけて太平洋を横断 した遠地津波。日本では地震を感じないまま津波だけが到達し、警戒が遅れて被害が拡大しました。これを機に 太平洋津波警報システム が整備されました。
日本海中部地震(1983年・昭和58年)
- 震源域:秋田沖
- 規模:M7.7
- 死者:約100人
日本海側で発生した大津波。秋田・青森・北海道で被害を出し男鹿半島で遠足中の小学生13人が津波で命を落とすという痛ましい事故も発生しました。
北海道南西沖地震(1993年・平成5年)
- 震源域:奥尻島近海
- 規模:M7.8
- 死者・行方不明者:約230人
- 遡上高:約30m
地震発生から約5分後に津波到達 という極めて短時間の災害。奥尻島青苗地区が壊滅し地震対策+津波避難の重要性が再認識されました。
東日本大震災(2011年・平成23年)
- 震源域:三陸沖
- 規模:M9.0(観測史上日本最大)
- 死者・行方不明者:22,000人超
- 遡上高:40.1m(岩手県大船渡市)
現代日本最大の津波被害。福島第一原発事故の引き金にもなりました。貞観三陸(869)の再来とも言われる規模で地震・津波研究を大きく変えた災害です。
日本の地震災害全体の文脈は関連記事もあわせてご参考ください。

年表から読み取れる3つの教訓
20件の年表を眺めると3つの重要な教訓 が浮かび上がります。

南海トラフってだいぶ前から来るって言われてるけど、いつ頃来るのか分かってるの?

「何年何月」とまでは分かっていないんです。でも過去の間隔から次は2030〜2040年代ごろと想定されていますよ。だからこそ今のうちに備えておくのが安心なんです。
教訓① 南海トラフは100〜150年周期
| 周期 | 地震名 | 西暦 | 前回との間隔 |
|---|---|---|---|
| 古代 | 白鳳南海 | 684 | – |
| 中世 | 仁和南海 | 887 | 約200年 |
| 中世 | 正平南海 | 1361 | 約470年 |
| 近世 | 慶長 | 1605 | 約240年 |
| 近世 | 宝永 | 1707 | 102年 |
| 近世 | 安政南海 | 1854 | 147年 |
| 近代 | 昭和南海 | 1946 | 92年 |
※古代〜中世の長い間隔(約200年・約470年)には記録に残らなかった地震が含まれる可能性があるとされています。
宝永(1707)以降の直近300年はおおむね100〜150年間隔。昭和南海(1946)から 2030〜2040年代に次回が想定 されています。
教訓② 三陸は30〜40年周期
| 地震名 | 西暦 | 前回との間隔 |
|---|---|---|
| 慶長三陸 | 1611 | – |
| 明治三陸 | 1896 | 285年 |
| 昭和三陸 | 1933 | 37年 |
| チリ津波 | 1960 | 27年 |
| 東日本 | 2011 | 51年 |
※チリ津波(1960)は遠地津波(チリ沖が震源)で三陸沖の地震ではありませんが、三陸沿岸が被災したため参考として併記しています。慶長三陸→明治三陸の285年には、記録に残らなかった地震が含まれる可能性も指摘されています。
明治以降はおおむね30〜50年間隔 で大津波が繰り返されてきたとされています。
教訓③ 仕組みを知れば判断が早まる
歴史記録から学べる 避難行動の鉄則 は3つです。
- 揺れたら高台へ即避難(引き波を待たない)
- 第二波・第三波が大きいケースが多い
- 津波警報解除まで戻らない
津波の発生メカニズムや沿岸増幅の仕組みは 気象庁「津波発生と伝播のしくみ」 でも解説されています。
物理的な仕組みは関連記事もあわせてご参考ください。

歴史から学ぶ長期備蓄2点
歴史を振り返ると、南海トラフ100年周期・三陸30〜40年周期 という現実が見えてきます。「いつか来る」を「いつ来ても」に変えるための長期備蓄2点をご紹介します。
① 非常持ち出し袋
津波避難は 「揺れた直後に持って出る」 が原則です。歴史記録でも避難の遅れが被害を拡大させてきました。即座に持ち出せる場所への常備が大切です。
- 玄関・寝室に常備:取りに行かずに即出発
- 重さ5〜7kg:高台まで走れる重量に
- 水・食料1〜3日分
- ライト・ホイッスル・タオル・現金
非常持ち出し袋の中身詳細は関連記事もあわせてご参考ください。

② 長期保存食
南海トラフ巨大地震の想定では、ライフライン復旧まで数日〜2週間 とされています。歴史的にも大津波後は孤立集落が長期化したケースが多く長期保存食の備蓄 が頼りになります。
- 5〜25年の長期保存 (アルファ米・乾パン・缶詰)
- 家族人数 × 7日分 を目安に
- ローリングストック:日常で消費しながら更新
- 加熱不要 or 水だけで戻せる ものを優先
長期保存食の選び方は関連記事もあわせてご参考ください。

まとめ
日本の津波の歴史20選を時代区分5章で整理しました。要点を振り返ります。
- 古代:白鳳南海(684)が日本最古の津波記録
- 中世:仁和南海・正平南海・明応東海と南海トラフが繰り返し
- 近世:宝永(1707)が史上最大級/明和(1771)が遡上高85.4mで日本最大
- 近代:明治三陸(1896)・昭和三陸(1933)・関東大震災(1923)
- 現代:チリ津波(1960)・奥尻島(1993)・東日本大震災(2011)
- 南海トラフ周期:100〜150年(次回2030〜2040年代想定)
- 三陸周期:30〜50年(明治以降)
- 長期備蓄:非常持ち出し袋+長期保存食
歴史を知ることは、「いつか来る」を「いつ来ても」に変える 第一歩です。ぜひハザードマップで自宅周辺の想定を確認し家族で長期備蓄を整えてみてはいかがでしょうか。


