作り置きの食中毒に注意|カレーや煮物のウェルシュ菌を防ぐコツ

大きな鍋で作る煮込み料理(カレー) 備蓄・食料
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朝の支度を楽にしようと前の晩におかずを作っておく。その作り置きが食中毒の原因になることがあるとご存じでしたか?

梅雨から夏にかけては気温と湿度が上がって細菌が増えやすい季節です。なかでも見落とされがちなのがカレーや煮物などの作り置きで起こる食中毒です。「しっかり加熱したから大丈夫」と思っていても冷ましている間に菌が増えてしまうことがあります。

この記事では作り置きでなぜ食中毒が起こるのか、その主役であるウェルシュ菌の性質と作り置きを安全に楽しむための「冷ます・分ける・温め直す」のコツを整理します。

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作り置きで食中毒が起こるのはなぜ?

作り置きの食中毒は「作ってから食べるまでの時間」に菌が増えることで起こります。

調理の直後は加熱で多くの菌が減った状態です。問題はそのあとで鍋ごと長い時間をかけて冷ましたり常温に置いたままにしたりすると料理の温度がゆっくりと下がっていきます。このゆっくり冷める時間帯こそ菌が活発に増える温度を長く通過することになります。

梅雨どきは室温も湿度も高く料理が冷めにくい季節です。前の晩に作って翌日に食べるというよくある段取りが菌にとっては増殖の時間を与えてしまうことにつながります。

季節全体の食中毒の基本はこちらの記事でまとめています。

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加熱したのに危ない|ウェルシュ菌という落とし穴

作り置きの食中毒で特に知っておきたいのがウェルシュ菌です。東京都保健医療局の解説をもとにその性質を見てみましょう。

ウェルシュ菌は酸素を嫌う「嫌気性菌」と呼ばれる菌です。やっかいなのは熱に強い「芽胞」という殻のようなものを作る点です。芽胞の状態になると高温で加熱しても生き残ることがあるとされています。つまり「煮込んだから菌はいない」とは言い切れないのです。

カレーや煮物のようにとろみがあって深さのある料理では鍋の中心部が酸素の少ない状態になります。加熱後に温度が下がり菌が増えやすい温度帯になると、生き残った芽胞が再び目を覚まして急速に増えはじめると説明されています。

防犯くん
防犯くん

グツグツ煮たのにそれでも菌が残ってるなんてことあるの?

防災さん
防災さん

ウェルシュ菌は熱に強い殻を作るので加熱だけでは安心しきれないんです。だから「やっつける」だけでなく冷ます間に「増やさない」ことがとても大切なんですよ。

特に気をつけたい料理は?

ウェルシュ菌による食中毒は次のような料理で起こりやすいとされています。東京都の解説では肉類・魚介類・野菜を使った煮込み料理が原因になりやすいと挙げられています。

  • カレー、シチュー
  • 煮物、スープ
  • めんつゆ、だし
  • 大量に作るカレーやスープなど、深い鍋で一度にたくさん作る料理

とりわけ危ないのが食べる前日に大量に加熱調理し、大きな器のまま室温で冷ましたケースだと指摘されています。家庭でも大鍋でカレーを作って翌日まで置いておくという場面は珍しくありません。

なおウェルシュ菌による食中毒の症状は、潜伏時間がおよそ6〜18時間(平均10時間ほど)で腹痛や下痢が中心とされています。比較的軽いほうとされますがつらい思いをしないに越したことはありません。

作り置きを安全にする3つのコツ

ウェルシュ菌対策の柱は「加熱で殺す」よりも「増やさない」ことです。作り置きをするときは次の3つを意識してみてください。

作り置きを安全にする「冷ます・分ける・温め直す」

  1. 冷ます:鍋ごと放置せず、浅い容器に移してできるだけ早く冷ます
  2. 分ける:一度に食べる分ずつ小分けにし粗熱が取れたら冷蔵庫へ
  3. 温め直す:食べる前に全体をよくかき混ぜ中心まで熱々にする

それぞれについてもう少し具体的に見ていきます。

① 急いで冷ます

厚生労働省の家庭での食中毒予防のポイントでは残った食品は浅い容器に小分けして早く冷やすことがすすめられています。深い鍋のままだと中心がなかなか冷えませんが浅く広げれば熱が早く逃げます。氷水を張ったボウルに鍋底をあてて、ときどきかき混ぜながら冷ますのも一つの方法です。

熱いものをそのまま冷蔵庫に入れると庫内の温度が上がって他の食品まで傷みやすくなることがあります。粗熱が取れてから冷蔵庫に移すのが基本ですが放熱に時間をかけすぎないように保冷剤をあてる、扇風機の風をあてるなどして冷ます時間を短くする工夫も役立ちます。室温に置きっぱなしにする時間をできるだけ短くするのがポイントです。

② 小分けにして危険な温度帯を短くする

同じく厚生労働省は、温かい料理は65℃以上冷やして食べる料理は10℃以下に保つことを目安としています。その間の温度帯は菌が増えやすいため長く置かないことが大切です。小分けにすれば一つひとつが早く冷え菌が増える時間を短くできます。

③ 温め直しは「全体を」熱く

冷蔵した作り置きを食べるときは表面だけでなく中心まで温め直します。厚生労働省は温め直しの目安として75℃以上を挙げています。電子レンジでは加熱ムラが出やすいので途中で一度かき混ぜると安心です。鍋で温め直すときも底からよくかき混ぜながら全体を熱くしましょう。

冷蔵庫での保存については停電などで庫内の温度が上がったときの判断も知っておくと役立ちます。

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冷蔵・冷凍と保存期間の目安

作り置きは早めに食べきるのが基本です。厚生労働省は冷蔵庫を10℃以下、冷凍庫を-15℃以下に保つことを目安としています。

  • 数日のうちに食べる:粗熱を取ってから冷蔵保存し、できるだけ早めに食べきる
  • すぐに食べない:食べきれない分は傷む前に小分けして冷凍する

「もったいないから」と長く置くより作る量を控えめにして食べきる、食べきれない分は早めに冷凍すると切り替えるほうが安全につながります。前日にまとめて作るときも当日に軽く作り足すなど調理から食べるまでの時間を短くする工夫が役立ちます。

作り置きの容器には作った日付を書いておくと管理がしやすくなります。冷蔵で保存したものは2〜3日以内を目安に食べきり、見た目やにおいに少しでも違和感があれば無理せず処分しましょう。判断に迷うものを口にしないことも立派な食中毒対策です。

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冷凍した作り置きの解凍と温め直し

冷凍した作り置きは解凍のしかたにも気をつけたいところです。常温に出しっぱなしにする自然解凍は料理の表面が菌の増えやすい温度帯に長くとどまりやすいため避けたい方法です。前の晩のうちに冷蔵庫へ移してゆっくり解凍するか、急ぐときは電子レンジの解凍機能を使うのが安心です。

解凍したものはその日のうちに食べきるのが基本です。一度解凍したものを再び冷凍すると品質が落ちるうえに解凍のたびに菌が増える機会を与えることにもなります。はじめから一食分ずつ小分けにして冷凍しておけば食べる分だけ解凍でき、こうした再冷凍を避けやすくなります。

冷凍・解凍を経たあとも食べる前の温め直しは中心まで熱々にするのが基本です。とくに煮込み料理は底からよくかき混ぜてムラなく加熱しましょう。凍ったまま鍋で温めるときも解けてきたところで一度かき混ぜ、全体が同じように熱くなるよう意識すると安心です。

なお冷凍した作り置きもいつまでも安心というわけではありません。風味が落ちないうちに2〜3週間ほどを目安に食べきり、冷凍した日をラベルや付せんに書いておくと庫内の奥で忘れてしまうのを防げます。

作り置きの料理別に気をつけたいこと

作り置きといっても料理はさまざまです。ウェルシュ菌が気になる煮込み以外にも料理ごとに気をつけたい点があります。

  • ごはん・おにぎり:おにぎりは素手で握らずラップや使い捨て手袋を使いましょう。手についた菌(黄色ブドウ球菌など)が増えると加熱では分解されにくい毒素を作ることがあるとされています
  • 卵料理:半熟の状態での作り置きは避け中心までしっかり火を通します。卵はサルモネラに注意したい食材です
  • あえ物・サラダ:水気が残ると傷みやすいので、清潔な手と器具で作り早めに食べきります。生野菜は水気をよく切ってから保存しましょう
  • 揚げ物・焼き物:比較的傷みにくいものの冷ましてから清潔な容器で保存します

どの料理にも共通するのは「清潔な手と器具で作り、早く冷まして冷蔵し、食べる前に温め直す」という流れです。料理に合わせて少しずつ意識を変えると作り置き全体の安全度が上がります。

ウェルシュ菌だけではない|作り置きの基本の3原則

ここまではウェルシュ菌を中心に見てきましたが、作り置き全般では食中毒予防の3原則も忘れないようにしたいところです。

  • つけない:清潔な手と調理器具で扱い保存容器も洗って乾かしたものを使う。取り分けは清潔な箸やスプーンで行う
  • 増やさない:粗熱を取って早く冷蔵・冷凍し、常温で長く放置しない
  • やっつける:食べる前に中心までしっかり温め直す

「つけない」の土台になるのが、調理に使う道具そのものの清潔さです。まな板やスポンジ・ふきんの除菌と乾かし方はこちらでまとめています。

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まとめ

作り置きの食中毒、とくにウェルシュ菌への備えをご紹介しました。最後に要点を振り返ります。

  • 作り置きは「冷ます時間」に菌が増える:加熱直後ではなく、その後の温度の下がり方が分かれ目
  • 加熱だけでは安心しきれない:ウェルシュ菌は熱に強い芽胞を作り、煮込み料理で増えやすい
  • カレー・煮物・スープは要注意:前日に大量調理して大きな器のまま冷ますのが危ない
  • 冷ます・分ける・温め直す:浅い容器に小分けして早く冷やし食べる前は中心まで熱々に
  • 早めに食べきる:冷蔵は早めに食べきれない分は小分けして冷凍する

ちょっとした冷まし方と保存の工夫で作り置きの食中毒リスクは小さくできます。梅雨から夏のあいだは「作ったら早く冷ます、食べる前に熱々に」を合言葉に作り置きを上手に活用してみてはいかがでしょうか。