地震災害や水道配管の漏水、貯水タンクの点検などで水が使えないとなると困りものです。
食事の支度から洗濯、お風呂と水が止まると色々なことができなくなりますが、中でもトイレを使った後に流せなくなることが一番困ることではないでしょうか?
今回は断水したときにトイレを使用した後の流し方とトイレで使う必要水量についてお伝えします。
トイレを流す水は1回どのくらい?まず結論
結論からお伝えすると、最近の節水トイレなら1回あたり約4〜5リットル、2000年以前の古いトイレでは1回10〜13リットルほどが目安です。2リットルのペットボトルならば2本強〜6本分にあたります。
| トイレの年代・タイプ | 大(1回) | 小(1回) |
|---|---|---|
| 最新の節水型(2010年代〜) | 約4〜5リットル | 約3〜4リットル |
| 2000年代 | 約6〜8リットル | 約5〜6リットル |
| 2000年以前の古いタイプ | 約10〜13リットル | 約8リットル前後 |
※製品やメーカーによって異なります。正確な水量は自宅のトイレの品番からメーカーサイトで調べられます。品番は便器の側面やタンクのふた裏に記載されていることが多いです。
水洗トイレが1回に使う水の量はメーカーや製造された年代によって異なります。近年になるほど省資源で効率的に流す仕組みになり、1回あたりの水量は少なくなってきました。
トイレ製造メーカーで各年代別での水使用量は次のようになっています。
| 発売年代 | メーカー | 商品名称 | 必要な水量 |
|---|---|---|---|
| 1970年代 | INAX | C-44('73年~) | 16L |
| TOTO | CSシリーズ('76年~) | 13L | |
| 1980年代 | ジャニス工業 | Cシリーズ('85年~) | 12.5L |
| 1990年代 | INAX | アメージュ | 大10L/小8L |
| TOTO | ネオレストEX | 大8L/小6L | |
| Panasonic | シャワレインCX | 大6L/小5L | |
| ジャニス工業 | 楽れっとL | 8L | |
| 2000年代 | TOTO | ネオレストA(’06年) ネオレストAH(’07年) | 大6L/小5L 大5.5L/小4.5L |
| INAX | ECO6シリーズ ECO5シリーズ | 大6L/小5L 大5L/小4L |
|
| Panasonic | アラウーノS | 大5.7L/小4L | |
| 2010年代 | TOTO | ネオレストNX/AH/RH | 大3.8L/小3.3L |
| INAX (現:LIXIL) | ECO4シリーズ | 大4L/小3.3L | |
| Panasonic | アラウーノV | 大4.6L/小3L |
1970年代と最近の2010年代を比べると現在で使用する水の量は大きい方でも4L~5L位と昔より約1/3程度まで抑えられているんですね。
ただしトイレの便器は新築時に取り付けたまま長く使うことが多く、少し古めの住宅ではやはりトイレ1回あたりに必要な水の量は10リットル程度は少なくとも必要かもしれません。
過去記事 災害時に家庭で水の備蓄量は一日一人当たり何リットル必要?
トイレのタンクは何リットル?
「トイレのタンクには何リットル入るの?」と気になる方もいるかもしれません。タンク式トイレ(ロータンク式)のタンクには、基本的に洗浄1回分の水がたまる仕組みです。そのためタンクの容量は1回に流す水の量とほぼ同じで目安は古い型で約10〜13リットル、新しい節水型で約4〜6リットルです。
つまり「トイレのタンクは何リットル?」と考えるときは、そのまま「1回に流す水の量」と読み替えると分かりやすいでしょう。断水したときは、このタンク1杯分の水をバケツなどで便器へ直接入れて流すイメージになります。お風呂の残り湯を使うなら洗面器でおよそ1〜2杯(8〜10リットル前後)が1回分の目安です。
少ない水の量でトイレを流す方法とは

最近のトイレ便器設備であれば使う水の量は少なくなってますが、そもそも地震災害などによって断水してしまったときには水が供給されなくなってしまいます。
普段からお風呂の浴槽に水を貯めている場合や一軒家で貯水槽など断水時も一定量以上の水が確保できるときには手動でトイレの水を流すことができます。
断水時にトイレ用の水を確保するには、ふだんからお風呂の残り湯を残しておくほか、給水袋やウォータータンクに水をためておく方法もあります。普段使うウォーターサーバーの水をいざというときトイレ用に回すのも一つの手です。
断水時の水の運搬・確保に使う給水袋やウォータータンクの選び方はこちらの記事でまとめています。

バケツを使う方法
トイレ用水として使える水があることを前提ですが、使用量をできるだけ少なくする方法はバケツを使って勢いよく便器に流すことがおすすめされています。
こちらは「TOTO公式ホームページ」で紹介されており、メーカーとしても推奨しています。
- バケツ1杯分(8L程度)の水を勢いよく便器の中心に向かって流し込む。
- 次に静かにバケツ半分程度(4L位)の水を静かに流す。
- 排水管のつまりを防止するため、数回(2~3回)に一度は上記1の時にバケツ1回半(10~12L程度)の水を流し込む。

出典:TOTO公式ホームページ
注意点として「便器に直接水を流すこと」というところです。
バケツで勢いよく便器へ水を流してしまうと水が飛び跳ねてしまい便器周辺も汚してしまい掃除が大変となるため一旦トイレのタンクへ水を入れた後に流したいところですね。
ただし、TOTOの見解としては、バケツ⇒タンクへの水の量(タンク貯水量)が少ないと使う便器の洗浄不良や内部へのつまりなど通常使用条件外の影響により「タンクへ水を入れることは避けてほしい」と指示されています。
流す前に確認したい注意点
水があるからといって直ぐに流してよいとは限りません。特に地震のあとは注意が必要です。
- 排水管・下水が壊れていないか確認する:地震で建物の排水管や下水道が損傷していると、流した水や汚物が外に漏れたり集合住宅では階下に漏水したりするおそれがあります。マンションやアパートでは、管理会社・管理組合や自治体が「流して大丈夫」と確認するまでは無理に流さないのが安全です。
- タンクに水を入れて流さない:前述のとおりメーカーはタンクへの注水を勧めていません。便器に直接バケツで流します。
- 少量をチョロチョロ流さない:水の勢いが足りないと汚物が流れ切らず、つまりの原因になります。バケツで一気に流すのが基本です。
「流す前に、流してよい状況かを確かめる」——このひと手間が、つまりや階下漏水などの二次被害を防ぎます。
断水でトイレを流す水がない場合の対処方法
浴槽へ水を貯めていない、備蓄している水がない場合などトイレを使った後に流す水がないときは非常に困ってしまいますね。
水は命を守るために最優先で備えたいものですが、トイレは我慢も代用も難しく断水時にこそ困りやすいものです。浴槽の水も備蓄水もないときに頼りになるのが水を使わずに処理できる「凝固剤(簡易トイレ)」です。
トイレ用の凝固剤を使う方法
水が使えなくてもトイレは我慢できないものです。水を一切使わずトイレを利用する方法として「凝固剤」があります。
トイレの凝固剤は、高分子吸収剤(高分子ポリマー)/消臭成分/除菌成分などから構成されており、大きい方や小さい方をするとポリマーに吸収されてすぐにゼリー状に変化し液体を固めてくれます。
また臭いは活性炭などにより抑えられ、ばい菌の元となる成分を除菌効果により低減してくれます。
使い方は、便器へ袋(汚物用のビニール袋)をセットし用をたしたあとに凝固剤をふりかけ用便が固まるのを確認して汚物用袋をしっかり結んだうえで処分します。
廃油を固めるアイテムと同じように、ふりかけるだけで手早く処理できるのが特長です。
市販の簡易トイレには、凝固剤と汚物袋だけのセットのほか、便座カバーつきのタイプや、便器そのものが使えないときに使う段ボール製の簡易便器がついたタイプもあります。自宅のトイレ(便器)が使えるかどうか家族の人数に合わせて選びましょう。
↑凝固剤・汚物袋・便座カバーがセットになった50回分です。防災士監修で長期保存にも対応しています。

より多めに備えたい場合は100回分の大容量タイプもあります。
↑凝固剤が100回分ですので1個購入しておくとしばらく使えます。
凝固剤・携帯トイレは何回分あれば安心?
備える量は、家族の人数 × 1日のトイレ回数 × 日数で考えます。1人が1日に5回使うとすると、3日で15回分、4人家族なら60回分が目安です。断水は1週間以上続くこともあるため、少し多めに備えておくと安心です。携帯トイレの種類や使い方、必要数の詳しい考え方はこちらの記事でくわしく解説しています。

使ったあとの処分と、平常時の備え
凝固剤で固めた汚物の入った袋は、においや衛生のため口をしっかり結び、防臭袋やふた付きの容器にまとめて保管します。ゴミ収集が再開するまで自宅で保管することもあるため、直射日光の当たらない場所に置きましょう。処分方法(多くは可燃ごみ)は自治体によって異なるため、お住まいの地域のルールを確認してください。
平常時の備えとしては、お風呂の残り湯を翌日まで残しておくと断水時のトイレ用水として使えます。ただし小さな子どもがいる家庭では転落の危険があるため、ふたをするなど安全に配慮しましょう。あわせて携帯トイレや凝固剤を家族の人数分そなえておけば、水が一滴もない状況でも落ち着いて対応できます。
断水は、大きな災害ではライフラインの復旧まで1週間以上かかることもあります。トイレの備えは「数日分」ではなく「1週間分」を目安にしておくと安心です。ライフラインの復旧日数の目安はこちらの記事も参考になります。

トイレを我慢しないことも大切
断水時に見落とされがちなのが「トイレの回数を減らそうと水分を控えてしまう」ことの危険です。水分を控えると脱水症状や膀胱炎を起こしやすくなり、避難生活では血栓(エコノミークラス症候群)の一因にもなります。
「流せる・処理できる」トイレの備えがあることは、安心して水分をとり、健康を保つことにもつながります。とくに高齢者や子ども、妊娠中の人は影響を受けやすいため、我慢させないことが大切です。
また停電中の夜間は足元が暗く、散らかった室内でトイレに行く際に転倒しやすくなります。枕元や通路に明かりを備えておくと安心です。トイレは一日に何度も使う場所だからこそ、その備えがそのまま生活の質と健康を守ります。
断水は地震だけでなく、台風や水道管の事故、貯水槽の点検でも起こります。数日から1週間、水なしでトイレをやりくりする場面は、決して特別なことではありません。「流す水の確保」と「水を使わない処理(凝固剤)」の両方を用意しておけば、どんな断水にも落ち着いて対応できます。
トイレと同じく断水で困るのが入浴や歯磨きです。水を使わずに体や口元を清潔に保てるグッズはこちらで紹介しています。

携帯トイレや凝固剤は、いざというときすぐ取り出せるよう非常持ち出し袋にも入れておくと安心です。中身のそろえ方はこちらが参考になります。

断水が長引くと、水で流す方法だけでは足りなくなります。備えておく災害用トイレの種類と必要数は次の記事で解説しています。

まとめ
災害時に断水してしまった場合のトイレの利用方法として多少でも水がある場合とまったくない場合があります。防災を優先で考えると水の確保は非常に重要なため、お風呂の浴槽へ水を貯めておきたいところですが実際いつも貯水しておくことは難しいかもしれません。
- 最近(2010年代)のトイレ1回あたりで必要な水の使用量は約5リットル未満(2Lペットボトル2本強)である。ただし発売年代により必要量は異なり、2000年以前であれば約10リットル程度は必要である。
- 断水時でのトイレのおすすめする流し方、処理方法は次のとおり
- 水が確保できていれば、バケツで直接便器へ勢いよく流す(タンクへ水を補充した後に流すことはおすすめできない)
- 水がなければ、防災用として発売されている「凝固剤」を使用する。



