災害時の車中泊で、命を落とすケースがある ことをご存じですか?
2004年の新潟県中越地震・2016年の熊本地震では車中泊によるエコノミークラス症候群(DVT)の死亡例が報告されているとされています。
この記事では、車中泊のDVTリスクを 厚生労働省データ をもとに整理し予防の7つの習慣・環境整備4ポイント・避難所との判断軸・必携グッズ3選 をまとめました。
なぜ災害時に車中泊が増えるのか
災害時に避難所ではなく 自家用車での車中泊 を選ぶ家庭が増える背景には複数の事情があります。
車中泊を選ぶ主な理由
- 避難所が満員:地震直後は収容能力を超える人が押し寄せる
- 余震への不安:建物倒壊の二次被害を避けたい
- プライバシー確保:着替え・授乳・育児がしやすい
- ペット連れ:避難所はペット受け入れに制約があるケース
- 感染症リスク回避:密集空間を避けたい
- 荷物管理:貴重品を手元に置いておきたい
車中泊避難の場所選び・必需品の全体像は「車中泊避難の完全ガイド」もあわせてご参考ください。

1週間以上の長期化も
南海トラフ巨大地震の被害想定ではライフライン復旧まで数日〜2週間 とされており、車中泊が 数日〜1週間以上 に及ぶ可能性も指摘されているとされています。長期化すると 健康リスク が無視できなくなります。
車中泊を含む避難の考え方や支援については 内閣府「在宅避難者・車中泊避難者の支援に関すること」 でも整理されています。南海トラフに備える1週間備蓄の全体像は関連記事もあわせてご参考ください。

車中泊の最大リスク:エコノミークラス症候群とは
車中泊で最も注意したい健康リスクが エコノミークラス症候群 です。正式名称は 「深部静脈血栓症(DVT)」 と「肺塞栓症」を合わせた呼び方とされています。
DVTのメカニズム
長時間同じ姿勢で座り続けるとふくらはぎなどの 深部静脈 で血流が滞り、血の塊(血栓)ができることがあります。立ち上がった瞬間に血栓がはがれて流れ肺に詰まると 肺塞栓症 で命にかかわる可能性があるとされています。
災害時の事例(事実ベース)
- 2004年 新潟県中越地震:車中泊によるエコノミークラス症候群が大きく注目された最初の災害として知られているとされる
- 2016年 熊本地震:本震後の車中泊で多数の入院例が報告されたとされる
これらの教訓を受けて、厚生労働省は 「エコノミークラス症候群の予防のために」 を公表しています。
症状の目安
- ふくらはぎの痛み・腫れ・違和感(片足だけ腫れることが多い)
- 赤み・熱感
- 重症化すると胸の痛み・呼吸困難(肺塞栓症の可能性)

ふくらはぎが痛いだけじゃないの?そんなに大変なことなの?

血栓が肺に飛ぶと「肺塞栓症」で命にかかわる可能性があるんです。災害時には実際に死亡例も報告されていますよ。
重要:胸の痛み・呼吸困難・片足の急な腫れがあれば、自己判断せず 医療機関の受診 を検討しましょう。
エコノミークラス症候群を防ぐ7つの習慣
厚生労働省・新潟県立病院機構などが推奨する DVT予防の習慣 を7つに整理しました。車中泊中の生活に組み込みやすい順に並べています。
習慣① 水分補給を控えない
- 1日 1.5〜2L の水分摂取が望ましいとされる
- トイレを我慢して水を控えると 脱水→血液濃縮→血栓 の悪循環
- 携帯トイレを車内に常備して安心して水を飲める環境を作る

トイレが少ないから水って我慢したほうがいいの?

それは逆だよ。水を控えると脱水で血が固まりやすくなります。携帯トイレを用意して水分はしっかり摂るのが大切ですよ。
習慣② 2〜3時間に1回 足を動かす
座ったままでもできる運動が推奨されているとされています。
- かかとの上げ下げ 20回
- 足首回し 左右10回ずつ
- 太もも・ふくらはぎのマッサージ
習慣③ 着圧ソックス(弾性ストッキング)を着用
医療現場でも使われる 着圧ソックス は、ふくらはぎを締め付けて静脈の血流を補助するとされています。災害時の備蓄に1足ずつ入れておくと安心です。
習慣④ 足を伸ばせる姿勢で寝る
- 後部座席をフラットにする
- マットで段差を解消する
- 助手席を倒してフラットにするのも選択肢
習慣⑤ ゆったりした服装
- ベルト・ガードルなど締め付ける衣服を避ける
- 寝るときはリラックスできる服装に着替える
習慣⑥ アルコール・カフェインを控える
- アルコール・コーヒー・濃いお茶は 利尿作用 で脱水につながる
- 水・麦茶・スポーツドリンクなどが望ましいとされる
習慣⑦ 1日1回は外を歩く
- 5〜10分の散歩でも血流改善の効果が期待できるとされる
- 安全な範囲で歩く/日中・複数人で
車中泊環境を整える4つのポイント
車中泊で 快適に・安全に過ごす ための環境整備を4つのポイントで整理します。DVT予防だけでなく熱中症・低体温症・一酸化炭素中毒の予防にも直結します。
ポイント① 姿勢(フラットを作る)
足を伸ばせる姿勢で眠るのがDVT予防の基本です。
- 後部座席をフラット化:シートを倒す
- 段差解消マット で水平を作る
- エアマット・寝袋 で寝心地を確保
- 助手席を倒す のも選択肢
ポイント② 温度(夏は熱中症・冬は低体温症)
季節で気をつけるポイントが変わります。
| 季節 | リスク | 対策 |
|---|---|---|
| 夏 | 熱中症 | 窓の開閉で換気/遮光カーテン/凍らせたペットボトル |
| 冬 | 低体温症 | 寝袋・電気毛布/断熱マット/使い捨てカイロ |
ポイント③ 換気(一酸化炭素中毒予防)
エンジンをかけたまま車中泊するのは厳禁 とされています。マフラーが雪や障害物で塞がれると 一酸化炭素中毒 で命にかかわる可能性があります。
- エンジンは 停止 が原則
- 窓を少し開ける または換気ファンで空気循環
- 電気毛布・ポータブル電源 で寒さ対策
ポイント④ トイレ(携帯トイレ常備)
避難所のトイレが遠い・混雑する状況に備え、携帯トイレを車内常備 しておくと水分補給を我慢せずに済みます。
- 1人1日5回×日数分 が目安
- 凝固剤+袋セット の大容量タイプが便利
- 車内設置可能な簡易便座 も候補
災害用トイレの選び方は関連記事もあわせてご参考ください。

「避難所と車中泊」どう選ぶ?判断軸
避難所と車中泊、どちらを選ぶかは 家族構成・住環境・健康状態 で変わります。一律の正解はありません。
判断軸の早見表
| 観点 | 避難所が向く場合 | 車中泊が向く場合 |
|---|---|---|
| 家族構成 | 単身・夫婦 | 乳幼児・ペット連れ |
| 健康 | 持病なし | 感染症リスク回避を優先 |
| 物資 | 配給を受けたい | 自分の備えで賄える |
| プライバシー | 共同生活OK | プライバシー重視 |
| 情報 | 行政情報を直接 | ラジオ・スマホで十分 |
| 健康リスク | 集団感染症あり | DVT・熱中症・低体温症あり |
「車中泊を選ぶ」前に確認したい3つ
- 健康面のリスク を理解しているか(DVT・熱中症・低体温症)
- 1週間以上長期化 する想定での備えがあるか
- 避難所の物資・情報 を受け取りに行く動線があるか

車中泊のほうがプライバシーもあって気楽だと思うけど。

気楽さの一方で健康リスクもあります。健康・プライバシー・ペット・家族構成を天秤にかけて家族で話し合って選ぶのが大切です。
「両方を組み合わせる」選択肢
- 夜は車中泊・日中は避難所 で物資受け取りと情報収集
- 家族の中で分担:高齢者・乳幼児は避難所/健康な大人は車中泊
- 車中泊と自宅の往復:自宅倒壊リスクが低ければ昼間は片づけに戻る
非常持ち出し袋の中身(車中泊と避難所で共通する部分)は関連記事もあわせてご参考ください。

車中泊DVT対策の必携グッズ3選
車中泊でDVTを予防し快適に過ごすための 核となる装備3点 をご紹介します。
① 着圧ソックス
DVT予防の 中核アイテム です。医療現場でも使われる弾性ストッキングが市販されています。
- 足首〜ふくらはぎ〜ふともも で段階的に圧力を変えるタイプ
- 男女兼用 or 性別別 のサイズ展開
- 就寝時着用OK のソフトタイプも
- 平時のフライト・長時間運転 にも兼用可能
長期保存食をはじめとした備えの全体像は関連記事もあわせてご参考ください。

② 車中泊マット
足を伸ばせるフラットな寝床 を作るための装備です。後部座席の段差を解消しDVT予防の姿勢を実現します。
- エアマット(コンパクト・収納性◎)or 高反発マット(寝心地◎)
- 後部座席フラット化用 のサイズを選ぶ
- 車種別の専用設計 モデルも候補
- キャンプ・車中泊レジャー にも兼用可能
③ 防災ポータブル電源
換気ファン・電気毛布・スマホ充電 の電源を確保します。夏の熱中症・冬の低体温症対策に直結します。
- 容量500Wh〜1000Wh(スマホ50〜100回充電可能)
- AC・USB・シガーソケット 多出力対応
- ソーラーパネル併用 で日中充電
- 車中泊・キャンプ・停電 全方位で活躍
防災ポータブル電源の選び方は関連記事もあわせてご参考ください。

まとめ
災害時の車中泊・DVT対策の要点を整理しました。
- 車中泊が増える理由:避難所満員・余震不安・プライバシー・ペット
- 最大のリスク:エコノミークラス症候群(DVT=深部静脈血栓症)
- 7つの習慣:水分/足上げ/着圧/姿勢/服装/アルコール抑制/散歩
- 環境整備4ポイント:姿勢・温度・換気(一酸化炭素中毒予防)・トイレ
- 避難所vs車中泊:家族構成・健康・物資・プライバシーで選ぶ/組み合わせも選択肢
- 装備3点:着圧ソックス+車中泊マット+ポータブル電源
車中泊は 「やむを得ない場合の選択肢」 として尊重しつつ、DVTを含む健康リスクを知っておくことが大切です。ぜひ家族で確認してみてはいかがでしょうか。


