お子さんから「おかしも」ということばを聞いたことありますか?
学校や保育園の避難訓練で先生がよく口にする合言葉ということです。お菓子のことではなく地震や火事のときに安全に逃げるための「お・か・し・も」という4つの約束をまとめたものです。
この記事では、「おかしも」「おはしも」の意味とそれぞれの理由、地域によるちがいや由来を整理します。また「合言葉を守りすぎてはいけない場面もある」という視点などまとめました。
「おかしも」「おはしも」とは
「おかしも」「おはしも」は、地震や火災のときに落ち着いて安全に避難するための約束を覚えやすい言葉にまとめた標語です。
主に保育園や小学校の低学年で避難訓練の合言葉として使われています。地震や火事のニュースが流れるとお子さんが口にして家族に教えてくれることもあるかもしれません。
主に次の意味となっています。
- おかしも:おさない/かけない/しゃべらない/もどらない
- おはしも:おさない/はしらない/しゃべらない/もどらない
「かけない」と「走らない」はほぼ同じ意味なので、「おかしも」と「おはしも」はほとんど同じことを言っています。地域や学校によってはどちらを使うかが分かれているだけです。
なぜこの4つ? ひとつずつの意味
それぞれの約束には子どもの命を守るためのはっきりした理由があります。単に「ダメ」とだけ覚えるよりも理由を知っておく方が子どもも納得して守ることができます。
- おさない:人を押すと転んだり将棋倒しになったりして怪我の原因になります。出口や階段では特に危険です。
- か(は)けない・走らない:あわてて走ると転んだり人にぶつかったりします。落ち着いて歩くことが結果的に早く安全に逃げることにつながります。
- しゃべらない:おしゃべりをしていると先生の指示や放送が聞こえません。大事な情報を聞きのがさないための約束です。
- もどらない:忘れ物を取りに戻ると危険な場所へ引き返すことになります。「物より命」を思い出させる約束です。ランドセルやおもちゃが気になっても、まず逃げる。
どれも「あわてて二次的なけがをしない」「指示を聞いて行動する」という避難の基本につながっていることが分かります。つまり地震や火事そのものよりも慌てて起こす転倒や将棋倒し、危険な場所へ戻る行動のほうが命に関わることもあるのです。このため落ち着いて行動するための合言葉が大切にされています。
「おかしも」と「おはしも」のちがい・いろいろなバリエーション
この標語は地域や時代によっていくつかのバリエーションがあるようです。
- おはしもて:最後の「て」は「ていがくねん(低学年)優先」。小さな子を先に避難させるという意味です。
- おはしもち:最後の「ち」は「ちかづかない」。火や切れた電線など危ないものに近づかないという意味です。
他にも「あ(あわてない)」を足したり、地震・火災・津波で言い方を変えたりと学校ごとに少しずつ違うことがあります。

学校によって、ことばが少しずつ違うんだね。

そうなんです。でも「おさない・あわてない・指示を聞く・戻らない」という大事な中身はどれもほとんど同じなので言葉の違いよりも本質を覚えておくことが大切ですよ。
いつから使われている? 由来
「おはし」「おかし」のような避難標語は、1990年代ごろから広まったとされています。特に1995年の阪神・淡路大震災のあと、消防庁の教育安全指導のガイドラインにも紹介されたことで、ここ十数年で急速に全国へ広まり避難訓練の定番になりました。
元々は「おさない・走らない・しゃべらない」の3文字「おはし」だったものに、「もどらない」が加わって「おはしも」になったという流れだということです。
短いことばにまとめることで、まだ字を習っていない園児でも覚えられて先生も訓練のたびに思い出させやすい。これは防犯の「いかのおすし」が広まったのと同じ形です。
出典:児童のための避難標語「おはしも(おかしも)」(防災格言/思則有備)
短いことばに教訓を込めて語り継ぐ工夫は昔から伝わる防災のことわざにも共通しています。

大切なのは「合言葉を守ること」より「命を守ること」
「おかしも」は、あくまで集団で落ち着いて避難するための訓練の合言葉です。
これは「本番の合言葉ではなく、避難訓練のための合言葉だ」という意見もあります。実際の災害では、状況に応じて命を守るための柔軟な判断が必要になることもあります。
たとえば津波が迫っているときは「走らない」より一刻も早く高台へ逃げることが大切ですし、はぐれて助けが必要なときは「しゃべらない」より大きな声で助けを呼ぶべき場面もあります。
標語を丸暗記して守りすぎるのではなく、「なぜそうするのか」という理由とセットで伝えておくことが実際には生きてきます。
大勢が一度に逃げる学校や園では、みんなが押し合えば、それだけで大きな事故につながりかねません。集団のときは合言葉を守り、ひとりのときや想定外のときは自分で考える、その両方を、ふだんから少しずつ伝えておけると安心です。「もし放送が聞こえなかったら?」「もし先生とはぐれたら?」を考えておくと良いでしょう。
出典:災害時に「おかしも」は守ったらダメ!?(Yahoo!ニュース エキスパート)
小さい子にはどう伝える?
小さなお子さんには理由を理屈で説明してもなかなか伝わりません。このため次のようなことを混ぜてみるのも良いでしょう。
- 動作でまねてみる:「おさない」を手の動きで見せる。
- 絵本やイラストを使う:文字より絵の方が小さな子には伝わりやすい。
- ほめて定着させる:訓練のあとに「上手に歩けたね」と声をかける。
年齢が上がってきたら「どうして走っちゃいけないんだろう?」と問いかけて、子ども自身に考えさせる練習に切り替えていくとよいでしょう。覚えるだけの段階から自分で判断できる段階へと育てていくイメージです。
家庭での教え方
学校だけでなく家庭でも合言葉を共有しておくと、いざというときに役立ちます。
- 理由とセットで伝える:「押すと転ぶから、おさない」のように、なぜかを一緒に話す。
- 遊びながら覚える:合言葉を声に出してみる、絵本やクイズにしてみる。
- わが家の避難も決めておく:集合場所や連絡方法を家族で確認しておく。
- 防犯の合言葉もあわせて:知らない人への対応をまとめた「いかのおすし」と一緒に覚えると防災と防犯の両方に備えられます。
- 大人も一緒に守る:親があわてず落ち着いて行動する姿が子どもにとってのお手本になります。
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まとめ
避難訓練の標語「おかしも」「おはしも」について、意味と由来などお伝えしました。
- 意味:おさない・か(は)けない/走らない・しゃべらない・もどらない、という避難の約束
- ちがい:「おかしも」と「おはしも」はほぼ同じ。おはしもて・おはしもちなどの発展形もある
- 由来:1990年代から広まり、阪神・淡路大震災後に全国へ普及した
- 大切な視点:あくまで訓練の合言葉。本番では命を守るための状況判断も必要
- 教え方:理由とセットで、遊びながら、家族の避難の約束と一緒に
合言葉は覚えただけでは力になりません。理由まで分かってこそ体が自然に動きます。ぜひご家庭で理由を話しながら一緒に声に出してみてはいかがでしょうか。

