真夏の昼下がり、突然エアコンが止まったら——あなたの家はどれくらい暑くなるか想像できますか?
夏の停電が怖いのは、暗さや不便だけでなく「暑さ」が命に直結するからです。猛暑日にエアコンが止まると室内の温度はみるみる上がり、熱中症の危険が一気に高まります。この記事では、停電中に身を守るための「体を冷やす順番」と電気を使わずに暑さをしのぐ方法を中心に夏の停電がなぜ起きるのか、夜間停電への備えまでを整理してご紹介します。停電時にそろえておきたいグッズについては別記事で価格帯別にまとめていますので併せてご覧ください。
夏の停電はなぜ起きる?4つの要因
夏は他の季節とは違う理由で停電が起こりやすい時期です。主な要因は次の4つです。
| 要因 | 内容 | 停電の長さの目安 |
|---|---|---|
| ① 電力需給のひっ迫 | 冷房需要が供給を上回りそうになる。2022年から「電力需給ひっ迫警報・注意報」の運用が始まった | 数時間〜半日 |
| ② 夏台風による損傷 | 倒木・電柱の倒壊・送電線の切断 | 数日に及ぶことも |
| ③ 落雷による瞬間停電 | 雷の多い6〜8月に増える | 数秒〜数十分 |
| ④ 冷房需要の集中 | 変電設備への局所的な負荷 | 数時間 |
短い停電なら待てば回復しますが台風による停電は復旧に何日もかかることがあります。「すぐ直る」と「長引く」の両方を想定しておくことが大切です。
猛暑日に停電すると室温はどうなる
気象庁は最高気温が35℃以上の日を「猛暑日」と定めています。さらに2026年には40℃以上の日を「酷暑日」として予報用語に加えました(40℃以上を「酷暑日」と呼ぶ言い方は、2022年に日本気象協会が提唱していたものです)。用語の定義は気象庁「予報用語(気温、湿度)」で確認できます。
こうした猛暑日にエアコンが止まると、室内の温度は急速に上がり外気温を上回って40℃近くに達することもあります。屋内だから安心とはいえず停電中はむしろ熱中症が進みやすい環境になりがちです。

停電中の暑さってそんなに危ないの?

エアコンが止まると室温は40℃近くまで上がることもあります。猛暑日に停電が重なると屋内でも熱中症が進む速さが変わってきます。だからこそ「電気があるとき」と「電気がないとき」の両方で備えておきたいんです。
長期停電の実例(2019年9月・台風15号)
2019年9月の台風15号では、千葉県を中心に大規模な停電が発生し復旧まで地域によっては10日以上かかりました。9月とはいえ厳しい残暑のなかでの長期停電で熱中症への警戒が呼びかけられました。夏の熱中症がどれだけ身近かは総務省消防庁「熱中症情報」の救急搬送のデータからもうかがえます。
長期停電と暑さが重なるリスクは、けっして他人事ではありません。
停電中に気をつけたい熱中症のサイン
エアコンのない部屋では本人も気づかないうちに熱中症が進むことがあります。次のような変化が出た時にはためらわず体を冷やして水分をとりましょう。
- 軽いうち:めまい・立ちくらみ・顔のほてり・足や手のこむら返り・大量の汗
- 進んだとき:頭痛・吐き気・体のだるさ・力が入らない・集中できない
- 危険なとき:呼びかけへの反応が鈍い・まっすぐ歩けない・汗が止まる・体が熱いのに汗をかかない
とくに気をつけたいのが高齢者と小さな子どもです。年齢を重ねると暑さやのどの渇きを感じにくくなり、エアコンが止まっても「まだ平気」と思いがちです。子どもは体温の調節機能が未発達なうえ、背が低く地面の照り返しの影響も受けやすいといわれます。停電中は周囲の大人が「暑くない?」「お水を飲もう」とこまめに声をかけて様子を気にかけてあげてください。汗が止まる、受け答えがおかしいといった様子が見られたら、すでに緊急の段階です。迷わず救急車を呼びましょう。
停電中に体を冷やす「順番」
熱中症の応急処置には効率のよい「冷やす順番」があります。停電中でも実践できる流れを環境省「熱中症予防情報サイト」の応急処置をもとに整理しました。

冷やす場所って、どこから?

首・脇の下・足の付け根の太い血管を優先して冷やすと効率的ですよ。額に保冷剤を当てるより、首元のほうが全身に冷えが回りやすいんです。送風と組み合わせると汗が蒸発して体温が下がりやすくなりますね。
体を冷やす5ステップ
| 順序 | 行動 | ねらい |
|---|---|---|
| ① 水分・電解質を補給 | 経口補水液や塩分を含む飲み物をとる | 脱水の進行を止める |
| ② 太い血管を冷やす | 首・脇の下・足の付け根に保冷剤や凍らせたボトルを当てる | 血液を直接冷やす |
| ③ 送風する | 電池式の扇風機・うちわ・扇子であおぐ | 汗の蒸発で体温を下げる |
| ④ 日射を遮る | 窓・カーテン・すだれで直射日光を防ぐ | 室温の上昇を抑える |
| ⑤ こまめに水分補給 | のどが渇く前に少しずつ飲む | 脱水を未然に防ぐ |
なぜ「首・脇・足の付け根」なのか
これらの場所は皮膚のすぐ下を太い血管が通っています。ここを冷やすと冷えた血液が全身をめぐって体温が下がりやすくなります。逆に額や頭頂部は下に骨があるため、保冷剤を当てても全身を冷やす効率はそれほど高くありません。環境省の応急処置の解説はこちらで確認できます。
意識がもうろうとしている、水分を自分でとれない、休んでも体温が下がらないといったときは、ためらわず救急車を呼んでください。
電気を使わずに暑さをしのぐ
ポータブル電源の容量が尽きたときや最初から電気がない前提で備えたいときのために、電気を使わない暑さ対策を知っておくと安心です。
- 窓を開けて風を通し、日射は遮る:北側・東側の窓を開けて風の通り道をつくり西日の強い窓はカーテンやすだれで日差しを遮ります
- 凍らせたペットボトルを活用する:平時から500mLのペットボトルを数本凍らせておくと停電直後に保冷剤の代わりになります。溶けた水はそのまま飲み水にもなり一石二鳥です
- 濡らしたタオルを首に巻く:水で濡らして軽く絞ったタオルを首や額に当てると、蒸発するときに熱を奪ってくれます
- 水風呂・足だけの水浴び:浴槽に水を張って体を冷やします。冷えすぎるときは足だけでも効果があります
- うちわ・扇子であおぐ:手動でも風を送れば汗の蒸発が進み、体感温度が下がります
室温が下がらないときは「逃げる」判断も
次のようなときは自宅にこだわらず涼しい場所へ移ることも大切な選択肢です。
- 室温が35℃を超え、下がる見込みがない
- 持病のある方・高齢者・乳幼児が一緒にいる
- 近くに冷房の効いた公共施設(公民館・図書館・商業施設など)がある
がまんして自宅にとどまるより安全な場所へ移るほうがよい場面もあります。「動けるうちに動く」を意識しておきましょう。
夜間の停電にどう備える
夜の停電は「暑さ」と「暗さ」が同時にやってきて判断力が落ちやすい時間帯です。寝室まわりに備えをまとめておくと初動が遅れにくくなります。

夜中の停電が一番きついよね…

深夜は暑さで眠れないうえ、暗くて状況もつかみにくいですよね。寝室にLEDランタンと小型の扇風機、凍らせた保冷剤、飲み物をひとまとめにしておくと安心ですよ。乾電池でも動くタイプなら電源が尽きてもしのげます。
寝室には明かりになるLEDランタン、足元や体に風を送る小型扇風機、首や枕元に置く保冷剤、すぐ飲める水分をひとつのかごやボックスにまとめておくと便利です。乾電池で動く機器を選んでおけばポータブル電源の容量を温存できます。保冷剤を肌へ直接当てると凍傷の心配があるので、タオルを1枚はさみ同じ場所を30分以上冷やし続けないように気をつけてください。子どもや高齢者は冷やす時間をさらに短めにすると安心です。
停電に備える情報と持ち物
停電は起きてから情報を取りに行くと出遅れます。停電や気象の情報をいち早く受け取れるよう防災ラジオと防災アプリを平時から準備しておきましょう。


停電中の暑さ対策に使えるネッククーラー・ポータブル電源・冷感タオルなどのグッズは価格帯別に選び方をまとめた別記事があります。何をそろえるか迷ったら併せてご覧ください。

長時間の停電に備えるなら容量を選べるポータブル電源も心強い選択肢です。こちらの BLUETTI の公式ストアも参考になります。
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タワーマンションの高層階では、停電でエレベーターや給水ポンプが止まると暑さと移動の負担が一気に重なります。高層階に住む方向けの備えはこちらでまとめています。

まとめ
夏の停電と熱中症への備えを整理しました。最後に要点を振り返ります。
- なぜ起きる:電力需給のひっ迫・夏台風・落雷・冷房需要の集中。台風による停電は数日に及ぶことも
- 室温の急上昇:猛暑日にエアコンが止まると室内は40℃近くに達することもある
- 見逃さないサイン:大量の汗・めまいから、汗が止まる・受け答えが鈍いは緊急。高齢者と子どもは特に注意
- 冷やす順番:①水分・電解質 → ②首・脇・足の付け根を冷やす → ③送風 → ④日射を遮る → ⑤こまめに水分補給
- 電気なしの工夫:風通し+日射カット・凍らせたボトル・濡れタオル・水風呂。下がらないときは涼しい場所へ
- 夜間の備え:寝室にLEDランタン・小型扇風機・保冷剤・飲み物をひとまとめに
- 情報と持ち物:防災ラジオ・アプリ・持ち出し袋を平時から
猛暑日の停電は、室温の上がり方が急で初動の速さが分かれ目になります。ぜひ本格的な夏を迎える前に「電気があるとき」と「ないとき」の両方の備えを整えてみてはいかがでしょうか。


