真夏の午後にエアコンが急に止まったら、部屋の中はどうなってしまうと思いますか?
近年は台風や落雷にともなう停電によって「もし冷房が使えなくなったら」と不安を感じることも多いのではないでしょうか。
暑さ対策というと、まずは冷房やサーキュレーターを思い浮かべますよね。ただし停電になった瞬間からそれらは使えなくなります。そこで見直したいのが、電気を使わない「窓まわりの遮熱・日よけ対策」です。
住宅では外からの熱の多くが窓から入ってきます。逆にいえば、窓さえ日射を防げれば、室温の上がり方を大きく抑えられる可能性があるのです。これは電気に頼らない防災対策としても機能します。
この記事では、外付けサンシェード・すだれ・遮熱フィルム・遮熱ネット・グリーンカーテンという5つの日よけ手法を、遮熱効果・費用感・賃貸で使えるかという3つの視点で比較していきます。
なぜ窓の遮熱が「防災」なのか(停電時の室温変化)
そもそもなぜ「窓の遮熱」が防災対策になるのか整理します。
夏の日中に直射日光が当たる部屋を閉め切っておくと、室温は驚くほど早く上昇します。日本気象協会や各自治体の注意喚起によれば、真夏の日中に冷房を止めた室内は数時間で40℃前後まで上がることもあるようです。冷房が動いていれば快適な部屋でも停電で電源が落ちれば外気とほぼ同じ温度に近づいてしまいます。場合によってはそれ以上に上がることもあるようです。
環境省が発表している暑さ指数(WBGT)では、28以上が「厳重警戒」とされています。屋外だけでなく風通しの悪い室内でもこの値に達することがあり、室内での熱中症リスクは無視できません。特に高齢の方や小さなお子さん、ペットのいるご家庭では、停電時の室温上昇は命に関わる問題になりえます。
では、なぜ「窓」かというと住宅における熱の出入りを調べたデータでは、夏に室内へ流れ込む熱のうち、およそ7割が窓など開口部を経由しているとされています。壁や屋根の断熱を強化する前に、まず窓からの日射を抑えるほうがコストパフォーマンスがよいと考えられます。
出典:LIXIL エクステリア100「暑さ対策には窓リフォームが効く?」

停電で困るのは「暗さ」だけじゃないんですよ。夏場は「暑さ」でも命に関わることがあるんです。
電気を使わずに窓の日射を遮ることができれば、その効果は停電中も途切れません。防災グッズというと備蓄食品やモバイルバッテリーが目立ちますが、窓の遮熱・日よけも、じつは「電源不要で効き続ける防災装備」の一つと言えます。
遮熱・日よけの5つの手法と効果の目安
次に窓まわりでよく使われる5つの遮熱・日よけ手法を見ていきます。それぞれ効果の出方や費用感、賃貸で使えるかどうかが異なるため、まずは一覧表での全体像が以下のとおりです。あくまでも各メーカーの実験値やメディアの検証記事を参考にした目安ですので、各ご自宅の条件によってずれがあることはご容赦ください。
| # | 手法 | 室温低下目安 | 費用目安 | 賃貸OK | 主な難点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 外付けサンシェード(オーニング型) | 3〜7℃ | 3,000〜10,000円 | ○ | 強風時撤収必要 |
| ② | すだれ・よしず(外側設置) | 3〜5℃ | 1,500〜5,000円 | ○ | 見た目・耐候性 |
| ③ | 遮熱フィルム(内側貼付) | 2〜4℃ | 2,000〜6,000円 | △ | 施工がやや面倒 |
| ④ | 遮熱ネット(セキスイ「遮熱クールアップ」等) | 2〜3℃ | 3,000〜5,000円/枚 | ○ | 見た目 |
| ⑤ | グリーンカーテン | 1〜3℃ | 500〜2,000円 | ○ | 水やり・成長を待つ |
室温低下の数値は各メーカーの実験や検証メディアの結果を混ぜたおおよその目安ですので、実際の効き方は窓の向き・部屋の断熱性能・屋外気温によって変わってきます。
表の ○ は工具や強い接着剤を使わずに設置できる商品が選べる、△ は原状回復のためにきれいに剥がせるタイプを選ぶ必要があるという意味です。
効果の考え方としては大きく2つ。
ひとつは外付けサンシェード・すだれ・グリーンカーテンのように「窓の外側で日射をカットする」方法。
もうひとつは遮熱フィルムや遮熱ネットのように「窓面で熱を反射・再放射させる」方法です。原則として外側で日射をカットするほうが効果は高いとされています。内側で対策する場合は、窓ガラス自体の温度上昇までは防ぎきれないためです。

迷ったらまず「外側でさえぎる」が基本ですね。賃貸でも吊り下げ式のシェードなら気軽に試せますよ。
手法別のおすすめ商品と選び方
ここからは5つの手法それぞれで「どんな人向けか」「選び方の3軸」「代表的な商品」をセットで紹介していきます。
窓の位置や住まいの形態によって最適解は変わるとされていますので、いくつかの手法を組み合わせて使う想定でご覧ください。
① 外付けサンシェード|屋外で日射をカット
戸建てや1階の窓、ベランダのある集合住宅など「窓の外側にフックや吸盤を付けられる環境」の方に向いた手法です。窓ガラスに熱が届く前に日射を遮るため、5つの手法のなかでは室温低下の効果が大きいです。
選び方の3軸
- サイズ(窓の縦横に対して余白を20cm前後とるサイズを選ぶ)
- 取り付け方式(吸盤・フック・突っ張り棒対応など穴あけ不要のもの)
- 素材の遮光・遮熱性能(UVカット率90%以上・撥水加工の有無)
外付けタイプは強風で煽られるとフックごと外れる可能性があるため、台風接近時などは早めに撤収するのが安心です。屋外設置の素材は紫外線劣化が避けられず、寿命は2〜3シーズンほどが目安と考えられます。ベランダの手すりに固定できるバンド付きのものなら、集合住宅でも比較的取り付けやすいはずです。
② すだれ・よしず|昔からある外側日よけ
見た目に和のテイストが入ってもよい方・低予算で試したい方向けです。戸建てや1階の掃き出し窓のほか、S字フックや突っ張り棒で吊るせる賃貸マンションのベランダにも合います。日本の夏に古くから使われ風を通しながら日射だけを切れる点が魅力です。
選び方の3軸
- サイズ(窓の幅と長さに合ったもの・立てかける「よしず」は高さ180cm前後が主流)
- 素材(天然竹は風合いがよく・アルミパイプ加工は耐久性が高め)
- 設置方法(掛け金具・S字フック・突っ張り棒への吊り下げ)
すだれは窓の上部から吊り下げるタイプ、よしずは地面から立てかけるタイプという違いがあります。風通しをある程度残せるため、締め切りにならず室内の空気がこもりにくいのも利点です。表面を霧吹きなどで軽く濡らしておくと気化熱で周囲の空気が冷え、体感温度が下がるという昔ながらの工夫もあります。
③ 遮熱フィルム|貼るだけで内側から反射
窓の外側に何も設置できない環境の方や見た目をすっきり保ちたい方向けです。窓ガラスの室内側に貼ることで入ってくる日射の一部を反射・吸収するとされています。
選び方の3軸
- 貼り方(水貼りで剥がせるタイプ・ドライタイプなど賃貸適合性が変わる)
- 機能(遮熱率・UVカット率・目隠し兼用の有無)
- 対応ガラス(網入りガラス・複層ガラス・強化ガラスへの適合表示)
賃貸住宅の場合、粘着剤が強く貼付跡が残るタイプは原状回復の対象になる可能性があるためややおすすめしにくいです。
水貼りで繰り返し貼り直せる静電吸着タイプであれば、賃貸でも比較的使いやすいです。網入りガラスに非対応のフィルムを貼ると熱割れを起こすため購入前にガラスの種類を確認してください。
④ 遮熱ネット|非粘着でカーテン感覚
賃貸住まいで接着剤を使いたくない方やシーズンオフに洗って再利用したい方に向いた手法です。セキスイの「遮熱クールアップ」に代表される、細かなメッシュ状のネットを窓面に取り付けるタイプの商品が知られています。
選び方の3軸
- サイズ(100×100cmなど複数展開のなかから窓に合うものを選ぶ)
- 設置方法(付属の面ファスナー・マジックテープ・洗濯機での丸洗い可否)
- 遮熱率・目隠し性能(視認性を残しつつ日射を切れるか)
面ファスナーで窓枠に貼るだけの商品が主流で賃貸でも取り付けやすいのが特徴です。ネットのメッシュ構造で日射を反射・拡散するため、窓の外に何も設置できないバルコニー無しの高層階などにも向いています。手洗いや洗濯機での丸洗いに対応した商品を選べば、シーズンオフに洗って翌年も繰り返し使えます。
⑤ グリーンカーテン|ゴーヤ・アサガオで自然な遮熱
プランターの置き場所を確保できる方・水やりを楽しめる方・見た目や環境負荷を優先したい方に向いた手法です。植物の葉が日射を遮り、さらに葉からの蒸散作用で周囲の空気を冷やす効果もあります。
選び方の3軸
- ネットの網目(10〜15cm前後の粗さがつる植物には育てやすいとされる)
- ネットのサイズ(窓の高さ+余裕をもった長さで購入する)
- 苗の種類(ゴーヤは実がなる実用型・アサガオは花が楽しめて成長が早め)
種や苗から育てるため、日陰として機能し始めるまでにおおむね4〜6週間はかかるようです。真夏の停電に備えるなら、遅くとも6月前半までに準備を始めておくのが目安のようです。ベランダの手すりや軒先から吊り下げるだけで設置できるネットタイプの商品もあり、はじめての方はそちらから入るのが取り組みやすいと思います。プランターや苗は別途用意しましょう。
賃貸マンションでもできる遮熱対策
「賃貸だから外側に何も置けない」と諦めがちですが、工具や強い接着剤を使わない手法もあります。
- 外付けサンシェード(吸盤・突っ張り棒式・手すり用バンド付き)
- すだれ・よしず(S字フックや突っ張り棒に吊るす引っ掛け型)
- 遮熱ネット(付属マジックテープで窓枠に貼るだけ)
- グリーンカーテン(プランターと園芸ネットのセット)
- 遮熱フィルム(静電吸着や水貼りで剥がせるタイプに限定)
まずベランダで使う場合は管理規約を最初に確認しましょう。台風接近時は早めに撤収し、避難経路や隣戸との隔壁前は消防法上の制約もあるため避けます。落下防止のひも固定は二重にすると安心です。

賃貸だと接着や穴あけができないから、遮熱対策はあきらめるしかないのかな?

吸盤や突っ張り棒、マジックテープで設置できる商品が増えていますので大丈夫ですよ。管理規約と避難経路の確認は忘れずに。
停電時に室温を上げないための事前準備
窓の遮熱と合わせて備えたいのが停電中の暑さをしのぐ道具です。日射をカットしても外気温が高ければ室温はじわじわ上がりますので局所的な冷却手段も用意しておきたいです。
冷凍庫の保冷剤や凍らせたペットボトルは停電直後の保冷源になります。モバイルバッテリー+ハンディファンは電源不要の扇風機代わりとして本格派はポータブル電源+スポットクーラーという選択肢もあります。
それぞれの選び方は別記事で解説しています。


よくありそうな質問
Q. 内側と外側どちらが効果的?
A. 一般には外側で日射をカットするほうが効果が高いとされています。賃貸で外側に置けないなら遮熱フィルムや遮熱ネットが現実的です。
Q. グリーンカーテンは水やりが大変では?
A. 真夏は毎日または朝晩の水やりが必要です。家を空けがちなご家庭には自動給水プランターや他の手法との併用がおすすめです。
Q. 遮熱フィルムは冬に室内が寒くなりませんか?
A. 遮熱フィルムは赤外線をカットする仕組みなので冬の日差しも一定量遮ります。季節ごとに付け外しできる剥がせるタイプが向いています。
Q. 複数の手法を併用しても意味がありますか?
A. あります。外側で日射をカットして内側で反射させれば効果が積み重なります。物足りなければ追加が現実的です。
まとめ|電気を使わない防災対策として
窓の遮熱・日よけは、電気を使わず室温上昇を抑えられる方法です。停電で冷房が止まっても効果が途切れない「電源不要の防災装備」といえます。
今回ご紹介した5つの手法をおさらいすると、次のとおりです。
- 外付けサンシェード:屋外で日射をカットする効果重視の定番
- すだれ・よしず:風を通しながら日射だけ切れる昔ながらの手法
- 遮熱フィルム:内側から反射・目立たない仕上がりで賃貸にも
- 遮熱ネット:面ファスナーで設置しやすくシーズンオフに洗える
- グリーンカーテン:植物の蒸散作用で自然に涼しく育てる楽しみも
ご自宅の間取りや暮らし方に合わせて試してみてはいかがでしょうか。



