ご家族や自分自身の高齢者向けの備えは行われてますか?
高齢者の防災は若い世代と同じ備えでは足りないことも多いです。体力低下や持病・通院、避難所での体調管理――一つひとつの場面で配慮すべきことが増えていきますので、早めに動くことが命を守る一番の備えとなります。
この記事では年齢を問わず備えておきたい 共通の5カテゴリ と、元気な高齢者から要介護・独居までの 状態別4区分の追加配慮、避難所での過ごし方、家族・地域での備えまでまとめてご紹介します。「早めの行動で守れる」備えをできるところから整えていきましょう。
なぜ高齢者の防災対策が大切なのか
高齢者は若い世代と比べて体力低下や持病・服薬の事情、聴覚や視覚の衰えなどから、災害時の行動に時間がかかりやすくなります。だからこそ避難判断は 早めに が原則です。
大雨や台風で起こる災害は浸水・暴風・停電・断水と幅広く、高齢のご本人が避難に時間を要する場面では、早めの避難ができるかどうかが大きく影響します。
政府広報オンラインも早めに防災対策・避難行動をとるよう呼びかけており、内閣府は避難に支援が必要な方を「避難行動要支援者」として位置づけ市町村ごとに名簿登録や個別避難計画づくりが進められています。日頃から備えと地域との関係を整えておくことが高齢者の命を守ることにつながるとされています。
共通の備え 5カテゴリ
ここからは年齢を問わず備えておきたい5つのカテゴリを商品例も交えてご紹介します。日常で使うものから少しずつ揃えると無理なく備えを進められます。
① 飲料水・食事
高齢になると飲み込みが弱くなりがちです。普段食べ慣れたもの+やわらかい備蓄食をローリングストックで揃えるのが基本です。
- 飲料水は 1人1日3L × 3〜7日分 が目安
- おかゆ・パン・ゼリー などやわらかい備蓄食を多めに
- 噛む力に不安があれば とろみ剤 も用意
- 普段食べ慣れたお茶・コーヒー・お菓子もストレス緩和に役立つ
- 缶切り不要・常温で食べられるものを選ぶ
② 常備薬・お薬手帳・医療
持病や通院がある方にとっては医療面の備えがいちばん大切です。書類は家族と共有できる形で。
- お薬手帳のコピー:避難所での医療対応や調剤に必要
- 常備薬は2週間分 を目安に予備を確保
- かかりつけ医・連絡先リスト を家族と共有
- 血圧計・体温計 で日々の体調を把握
- 救急セット(絆創膏・ガーゼ・消毒・包帯)
- 在宅酸素や医療機器を使っている方は 停電時の代替手段 を医療機関と相談
③ 簡易トイレ(洋式対応)
避難所の和式トイレは高齢者にとって大きな負担です。洋式対応の簡易トイレを多めに用意しておきましょう。
- 洋式便座対応 の簡易トイレを選ぶ
- 回数は 1人1日5回 × 3〜7日分 を目安に多めに
- 処理袋・防臭袋 を多めに
- 夜間や排泄回数が多い方は予備をさらに追加
- 介護用おむつを使っている方は災害時に切れない量の確保を行いましょう
④ 寒さ・体力対策
高齢者は体温調節が苦手になりやすく寒さで体調を崩しやすくなります。避難所の冷えや停電時の暖房対策も大切です。
- アルミ寝袋・アルミブランケット で体温保持
- 使い捨てカイロ を大容量で備蓄
- 厚手の靴下・防寒着・帽子
- 冷えからくる足のむくみ予防に 着圧ソックス も
- 着替えは下着・靴下を含めて2〜3日分
⑤ 連絡・情報
聴覚・視覚の衰えに配慮し情報を確実に受け取れる備えを整えましょう。
- 防災ラジオ:手回し充電・ライト・サイレン付きで多機能
- 補聴器の予備電池 /充電式の場合はモバイルバッテリー
- 老眼鏡の予備 を防災袋に1本
- 連絡先メモ(紙):家族・かかりつけ医・近隣
- 災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を家族で確認
状態別の追加配慮
ご本人の状態によって追加で備えたいことが変わります。当てはまる区分を中心に読み進めてみてください。
元気な高齢者
- 自力避難ができるうちに 早めの避難判断 を習慣化
- 家族・近隣との 連絡ルール を共有しておく
- ふだんからの 体力維持(散歩・ストレッチ)も防災の一部
- 備蓄のローテーション(賞味期限管理)を季節ごとに見直し
- 自治会や地域の防災訓練に参加しておくと当日の動きがスムーズ
持病・通院中
- お薬手帳のコピー を防災袋・財布の両方に準備
- 処方薬は 2週間分 の予備を確保
- かかりつけ医の連絡先・診察券のコピーを家族と共有
- 在宅酸素・人工透析・インスリン等を使う方は、災害時の対応を医療機関と事前相談
- 高血圧・糖尿病など慢性疾患の方は 血圧計・血糖測定器 も携行
要介護・身体不自由
- 避難行動要支援者制度 への登録を市町村に確認(個別避難計画づくりも進む)
- 介助者(家族・近隣・ヘルパー)の確保と役割分担
- 福祉避難所の場所と利用条件を地元自治体に確認
- 介護用品(おむつ・尿取りパッド・栄養剤・経管栄養食)は普段の使用量+2週間分
- 車椅子・歩行器・つえなどの移動補助具を取り出しやすい場所に備えておく
独居高齢者
- 近隣・自治会・民生委員と 顔の見える関係 を作っておく
- 緊急通報装置 や見守りサービスの導入を検討
- 離れて暮らす家族との 毎日の連絡手段(電話・LINEなど)
- 玄関や寝室の見えるところに連絡先・服薬情報をまとめたメモを貼っておく
- 防災袋は 持ち出しやすい場所 に置き、避難所の場所を地図で確認
避難・避難所での過ごし方
避難自体と避難先で過ごす時間――どちらにも高齢者特有の注意点があります。場面別に整理しました。
早めの避難判断
- 警戒レベル3「高齢者等避難」が発表されたら、ご高齢の方はその時点で避難を開始
- 大雨・台風の予報が出たら明るいうちに避難先へ移動するのが安全
- 移動に時間がかかる方は警戒レベル発表前の段階で家族と判断のすり合わせを
避難所での体調管理
- 慣れない環境での エコノミークラス症候群 に注意(厚生労働省も水分補給と適度な足の運動を呼びかけています)
- 1時間に1回は立ち上がる・足首を回すなど軽い運動を心がける
- 食事・水分の摂取を意識的に(遠慮して摂らない傾向があるため)
- 寒暖差・床の硬さで体力を消耗しやすいので、毛布・座布団を持参
- 持病の悪化を感じたら早めに救護所や医療スタッフへ相談
避難行動要支援者制度の活用
- 内閣府の避難行動要支援者制度では自力避難が難しい方の名簿登録と個別避難計画づくりが進められています
- 登録は市町村の担当窓口(高齢者福祉課・防災課など)で確認可能
- 個別避難計画には誰が介助するか・どこに避難するか・移動手段が記載される
- 普段から地域の支援者と顔合わせをしておくといざというときに動きやすい
家族・地域での備え
高齢者の防災はご本人だけでなく家族や地域とのつながりで支え合うものです。離れて暮らす家族にとってもできる備えがあります。
- 離れて暮らす家族の連絡ルール:災害時に「最初にどう連絡するか」を平時に決めておく
- 災害用伝言ダイヤル(171):電話が混雑したときに使える/家族で番号と使い方を共有
- 近隣・自治会の見守り:あいさつ程度のお付き合いが、災害時に大きな支えになる
- 民生委員・地域包括支援センター:高齢者の相談・支援の窓口として活用
- 家族のハザードマップ共有:自宅の浸水リスク・避難所を家族みんなで把握
- 訪問時の備蓄チェック:帰省時にお薬や非常食の賞味期限を一緒に見直す
備蓄リストや非常持ち出し袋の中身、車中泊避難、ハザードマップの見方も合わせてご覧ください。







まとめ
高齢者の防災対策について共通の備えと状態別の追加配慮をご紹介しました。最後に要点を振り返ります。
- 共通の備えは 5カテゴリ:飲料水・食事/常備薬・お薬手帳・医療/簡易トイレ/寒さ・体力対策/連絡・情報
- 状態別の追加配慮:元気な高齢者・持病通院中・要介護・独居で備える内容が変わる
- 早めの避難判断:警戒レベル3「高齢者等避難」が出たら避難を開始
- 避難所での体調管理:エコノミークラス症候群対策と水分・食事の意識的な摂取
- 家族・地域との連携:避難行動要支援者制度の活用と日頃のつながりが支えになる
ご本人もご家族も安心して過ごせるようにまずできるところから備えてみてはいかがでしょうか。


