ご家庭の非常食をお子さんが「これ食べない」と言ったらどうしましょうか…
非常食をきちんと備えているご家庭でも「子どもが実際に食べてくれるか」まで考えていることは意外と少ないものです。災害時の子どもは、ストレスや環境の変化も重なって食べ慣れないものを受け付けないことがあります。
この記事では子どもが非常食を食べない理由と「食べてくれる」を基準にした選び方、子ども向け非常食のおすすめ3点、そして日頃から「食べ慣れ」をつくる工夫までをご紹介します。
災害時に子どもが非常食を食べない理由
大人なら「非常時だから仕方ない」と割り切って食べられるものでも子どもにとってはそうはいきません。理由は大きく3つあるとされています。
- 食べ慣れない味・におい・食感:子どもは初めての食べものに敏感です。アルファ米や乾パンなど災害用に作られた食品は、ふだんの食卓に出ないからこそ口に入れた瞬間に「いつもと違う」と感じやすいのです。農林水産省の家庭備蓄の資料でもレトルトの離乳食は「普段から利用して食べ慣れておくことも大切」とされています
- ストレスと環境の変化:地震や大雨のあとは大人でも食欲が落ちます。子どもは不安を言葉にしにくいぶん「食べない」という形で表れることがあるとされています。避難所など慣れない場所ではなおさらです
- 冷たい・硬い・パサパサ:ライフラインが止まると温かい食事が用意できないことがあります。冷たいごはんや硬いパンは噛む力の弱い小さな子にはそれだけでハードルになります
そして見逃せないのが食物アレルギーです。同資料によると東日本大震災の物資不足では、1週間以上アレルギー対応食品を入手できなかった方が半数以上を占めたとされています。アレルギーのある子の食料は「支援物資で何とかなる」とは考えず家庭で備えておく必要性が高いのです。
政府広報オンラインの食品備蓄の特集でも子どもが日頃から好きな食品や飲みものを備えておくと、災害時でも安心につながるとされています。つまり子どもの非常食は「何日分あるか」の前に「この子が食べてくれるか」から考えるのが出発点になります。
子どもの非常食の選び方
「食べてくれるか」を基準にすると選び方は次の4つに整理できます。
- ① 食べ慣れているものを優先する:いちばんの近道は特別な非常食を探すことではなく、いつも食べているお菓子や食品の「保存版」を選ぶことです。ふだん食べているビスケットの保存缶なら災害時でも「知ってる味」として手が伸びます。厚生労働省系の健康情報サイトでも各家庭の食生活に合った「使い慣れた食品」を選ぶことが大切とされています
- ② 温めずにそのまま食べられる:発災直後は火が使えないことを想定し開けてすぐ食べられるものを中心にします。スプーン付きならなお安心です
- ③ アレルギー表示を確認する:アレルギーのある子はもちろん、避難先でよその子に分ける場面も考えて、特定原材料の表示は購入前に確認しておきましょう。アレルギー対応をうたう非常食は特定原材料28品目不使用のものが選べます
- ④ 子どもが自分で開けられるか:保護者が手を離せない状況で子どもが自分で開けて食べられるかも意外と大事なポイントです。缶切りが要る缶詰よりプルトップやパウチが向いています
きょうだいがいるご家庭では好みが一人ひとり違う点にも注意です。上の子の定番が下の子には不評ということもよくあるので「子ども用」とひとくくりにせず、それぞれの「これなら食べる」を1つずつ確保しておくと安心です。

非常食って大人と同じものを多めに買っておけばいいんじゃないの?

それも備えにはなるのですが、子どもは食べ慣れないものを受け付けないことがあるんです。農林水産省の資料でもレトルト食品はふだんから食べ慣れておくことが大切とされています。子どもの分は「食べてくれるか」から考えると失敗しにくいですよ。
子ども向け非常食おすすめ3点
ここからは「食べ慣れた味」「アレルギー対応」「温め不要のごはん」の3タイプをそれぞれ1点ずつご紹介します。長期保存非常食の全体的なランキングは、こちらの記事でジャンル別に10商品を紹介していますので家族全体の備えはあわせてご覧ください。

① お菓子系保存缶|「知ってる味」の安心感
ふだんスーパーで見かけるビスケットやクラッカーの長期保存缶です。中身はいつものお菓子とほぼ同じなので災害時でも子どもが警戒せずに食べられるのが最大の強みです。甘いものは気分転換になり不安な時間の中で「ほっとするひと口」にもなります。賞味期限は5年前後のものが多く、置いておくだけの備えとしても優秀です。
② アレルギー対応の長期保存食|「うちの子が食べられる」を確保する
特定原材料28品目不使用などアレルギーに配慮した長期保存食です。アレルギーのある子のいるご家庭では支援物資や避難所の炊き出しが食べられない場面を想定して、本人用の食料を多めに備えておきたいところです。農林水産省の資料ではアレルギー対応食品などの特殊食品は少なくとも2週間分の備蓄が推奨とされています。アレルギーのない子にもやさしい味で食べやすく、家族共通の備えにもなります。
③ 温め不要のごはん系|そのまま食べられる主食
火も水も使わず、開けてそのまま食べられるごはん・おかゆ類です。発災直後の「とりあえず食べさせたい」場面で主食になります。やわらかいおかゆタイプは小さな子や不安で食欲が落ちているときにも食べやすいのが利点です。スプーン付きを選べば食器の心配もいりません。
「食べ慣れ」をつくる日常の工夫
子どもの非常食は買って終わりではなく「食べ慣れた状態」まで持っていって初めて備えが完成します。日常でできる工夫を3つご紹介します。
- おやつもローリングストック:いつものお菓子やジュースを少し多めに買い置きし、食べたら買い足す。これだけで「食べ慣れた非常食」が常に家にある状態になります。やり方の詳しい解説はこちらの記事をどうぞ

- 「防災ピクニック」で試食する:賞味期限の入れ替えどきに非常食をお弁当代わりに持って公園へ。遊びの中で食べると子どもは非常食を「楽しかった日の味」として覚えてくれます。「これ嫌い」「こっちは好き」という好みの発見が次に買う商品選びの材料になります。農林水産省の資料でも非常食は実際に食べてみることがすすめられています
- 好みとアレルギーをメモして持ち出し袋へ:子どもの好きな味・食べられないものを書いたメモを非常持ち出し袋に入れておくと、預け先や避難先で本人に代わって伝えられます。子どもと一緒に備えを確認する習慣づくりはこちらの記事でも紹介しています

なお、離乳食前の赤ちゃんがいるご家庭は液体ミルクと使い捨て哺乳用品の備えを別途ご覧ください。


非常食の試食って、いつやればいいの?

賞味期限が近づいた入れ替えのタイミングがおすすめです。9月1日の防災の日や進級・進学の節目など年に1〜2回決めておくと続けやすいですよ。食べた感想を子どもに聞いて次の買い足しに生かすのがコツです。
まとめ
子どもの非常食について「食べない」に備える視点からご紹介しました。最後に要点を振り返ります。
- 子どもは非常食を食べないことがある:食べ慣れない味・ストレス・冷たい硬いの3つが主な理由とされる
- 選び方は「食べてくれるか」から:特別な非常食よりいつものお菓子の保存版。温め不要・アレルギー表示・自分で開けられるかも確認
- おすすめ3タイプ:お菓子系保存缶/アレルギー対応の長期保存食/温め不要のごはん系
- アレルギーのある子は2週間分:支援物資をあてにせず家庭で確保。好みとアレルギーのメモを持ち出し袋に
- 「食べ慣れ」までが備え:おやつのローリングストックと防災ピクニックで非常食を「知ってる味」にしておく
次のお買いものの機会にお子さんの好きなお菓子の保存缶をひとつ、カゴに加えるところから始めてみてはいかがでしょうか。


