部活で汗を流すお子さんを家庭からどう守ればよいのでしょうか?
練習中の様子は送り出した後の親の目が届かないところで進んでいきます。顧問の先生や仲間から聞く話だけでは、練習の様子をつかみきれないこともあるかもしれません。
この記事では、部活やスポーツで熱中症が起きやすい場面から暑さ指数(WBGT)による運動中止の目安、練習前後に親ができるチェック、持たせておきたいグッズまで公的資料をもとに整理しました。
部活・スポーツで熱中症が多いのはなぜ?
発生が多いのは中高生・走る種目・夏の初め
お子さんの部活は熱中症とどのくらい関係が深いのでしょうか。
学校の管理下で起きる熱中症は、中学校・高校の1・2年で多い傾向があるとされています。競技別に見ると屋外で走ることの多い野球・ラグビー・サッカーなどに加えて屋内競技の剣道・柔道などでも発生が目立つとされています。
また発生の直前にしていた行動としてランニングやダッシュなど「走る運動」が最も多いとされ、時期としては暑くなり始めの7月下旬と8月上旬に多く発生する傾向にあるそうです。
学校の管理下で起きた熱中症については、日本スポーツ振興センターが災害共済給付のデータを学校種別にまとめて公表しています。練習中に何が起きているかを直接見ることはできなくても、こうした公的データに目を通しておくことで部活と熱中症の結びつきの大きさをイメージしやすくなるかもしれません。
気温がそれほど高くない日でも起きています
気温が高い日にだけ気をつければよいと思われがちですが、実際はそうとも限らないようです。熱中症は気温だけで発生が決まるわけではないとされており、湿度が高い場合は気温がそれほど高くなくても熱中症が発生することがあり、激しい運動をしていると30分で発生した例もあるとされています。梅雨の晴れ間や梅雨明け直後などの一見過ごしやすく感じる日にも注意を向けておくとよさそうです。

熱中症って、真夏の炎天下だけ気をつければいいんでしょ?

体が暑さに慣れていない6月ごろでは気温がそれほど高くない日でも熱中症が起きることもありますよ。
暑さ指数(WBGT)と運動中止の目安
暑さ指数(WBGT)は、気温・湿度・輻射熱などをあわせて算出する指標となっています。日本スポーツ協会は、この暑さ指数をもとにした熱中症予防のための運動指針を示しています。
WBGTが22以上になるとほとんどの熱中症が発生する可能性があり、28以上になると発生数が特に多くなるとされています。一方でWBGT30以上になると運動そのものが控えられる場面が増え、発生数や死亡数はむしろ減少する傾向があるようです。
| WBGT(℃) | 指針 | 内容 |
|---|---|---|
| 31以上 | 運動は原則中止 | 特別の場合以外は運動を中止する。特に子供の場合は中止すべき。 |
| 28〜31 | 厳重警戒(激しい運動は中止) | 激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。10〜20分おきに休憩をとり水分・塩分を補給。暑さに弱い人(体力の低い人・肥満の人・暑さに慣れていない人など)は運動を軽減または中止 |
| 25〜28 | 警戒(積極的に休憩) | 積極的に休憩をとり適宜水分・塩分を補給。激しい運動では30分おきぐらいに休憩 |
| 21〜25 | 注意(積極的に水分補給) | 死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意し運動の合間に積極的に水分・塩分を補給 |
| 21未満 | ほぼ安全(適宜水分補給) | 通常は熱中症の危険は小さいが適宜水分・塩分の補給は必要。市民マラソンなどではこの条件でも発生するので注意 |
出典:環境省「熱中症環境保健マニュアル2022」掲載・日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」
実際に学校がどのように暑さ指数を確認し、指針に沿って練習量を調整しているのか気になるときは面談などの機会に指導者へ相談してみるのも一つの方法かもしれません。
親ができる練習前・練習後のチェック
練習前:送り出す前の体調チェック
下痢や発熱、疲労など体調がすぐれないときは熱中症を起こしやすいとされているため、無理をさせないことが大切です。急に暑くなった日は、体がまだ暑さに慣れていないため運動を軽くして徐々に慣らしていくのがよいでしょう。長い休みの明けなど体を動かしていなかった時期も同じように考えておくと安心かもしれません。服装は軽装にして汗を発散しやすい透湿性・通気性のよい素材を選び、直射日光は帽子で防ぐようにするとよさそうです。


練習中のことは、親にはどうにもできないんじゃない?

練習自体は確認できなくても送り出す前の体調チェックと持ち物の準備は家庭でしかできない備えですよ。
練習後:帰宅したら様子と水筒を確認
具合が悪くなった場合は早めに運動を中止して処置をとることが基本とされているため、帰宅後の顔色や食欲、疲れ方の変化を見ておくと安心につながりそうです。
水筒の残量を確認すれば、練習中にきちんと水分を摂れていたかどうかの目安にもなります。マニュアルでは運動の前後で体重を測り、水分摂取の過不足を確認する方法も紹介されており、運動前後の体重減少が2%以内におさまっているかが一つの目安とされています。
車で送り迎えをする場合は車内の温度にも注意を向けておきたいところです。

部活に持たせたい熱中症対策グッズ4点
ここからは部活のかばんに入れておきたい熱中症対策グッズを紹介します。どれも家庭で用意して、そのまま持たせられるものばかりです。
練習量に見合う「大容量スポーツ水筒」
休憩は30分に1回以上とり、こまめに水分を補給するのがよいです。部活の練習時間を考えると休憩のたびに少しずつ口にする程度の容量では、練習全体を通してみると心もとないかもしれません。練習時間にきちんと見合うだけの容量があるかどうかを確認しておきたいところです。保冷タイプであれば練習が長引いても冷たさを保ちやすく、マニュアルでは冷たい水を飲むことで深部体温を下げる効果があるとされているため、保冷機能も選ぶときの目安になりそうです。

汗をかいたら「塩分タブレット」
汗を多くかく場合には、水分だけでなく塩分の補給も必要とされています。塩分を含んだ飲み物や食品をそのつど用意するのは、練習中には手間に感じることもあるかもしれません。タブレットタイプであれば、かばんのポケットに入れておいても邪魔にならず、休憩のたびに手軽に口にできます。
休憩時間の「冷感タオル」
休憩中は保護具や帽子を外すタイミングでもあります。そのときに冷感タオルを首元などにあてておけば体を冷やす助けになります。これらは水で濡らして軽く絞るだけで使えるものが多く、部活のかばんに一枚入れておくと休憩時間の過ごし方が変わるかもしれません。
練習環境を見える化する「携帯型の熱中症指数計(WBGT計)」
環境条件の把握には、暑さ指数(WBGT)を確認することが望ましいとされています。とはいえ練習場所の暑さ指数を毎回調べるのは、家庭からは難しいことも多いです。かばんやベンチに置いておける携帯型の熱中症指数計であれば、練習場所の状況をその場で数値として見える化でき休憩のタイミングを判断する材料の一つにはなりそうです。
プールの部活も油断できません
水泳部やプールでの活動は、水に浸かっていることもあって熱中症とは縁遠いと思われがちです。しかし水の中にいても汗をかき、体から水分が失われることがあるとされています。
プールサイドはコンクリートで日よけもないことが多く、炎天下では想像以上に高温になりやすい環境でもあります。さらにプールでは飲食が禁止されていることがあり、のどが渇いても思うように水分補給ができない場面も出てきます。特に注意しておきたいのが試験期間が終わった直後の練習です。睡眠不足の状態と体が暑さに慣れていない状態とが重なりやすく危険性が高まる可能性もあります。
まとめ:家庭の備えで部活の夏を乗り切る
お子さんの部活の熱中症対策は、家庭でできることを一つずつ積み重ねていくのが基本になりそうです。
- 学校の管理下では中学校・高校の1・2年生や走ることの多い種目で発生が目立ち夏の初めに多く起きるとされています
- 暑さ指数(WBGT)が31以上になると運動は原則中止、特に子どもの場合は気を付けたいところです
- 練習に送り出す前の体調チェックと帰宅後の様子の確認は、家庭でできる備えといえそうです
- 水筒、塩分タブレット、冷感タオル、熱中症指数計を持たせておくことも練習中の備えとして役立ちます
また部活で頑張るお子さんには練習の日のお弁当にも気をつけたいところです。夏場のお弁当は食中毒のリスクも高まる時期です。

お子さんが夏の部活を元気に乗り切れるよう、できる備えから取り入れてみてはいかがでしょうか。


