携帯浄水器のおすすめ|災害の断水で水を作る選び方とろ過方式の違い

災害時に携帯浄水器で飲み水を確保するイメージ 防災グッズ
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災害で蛇口から水が出なくなったとき、川や雨水を「飲める水」に変える道具があると聞いたら少し心強く感じませんか?
携帯浄水器は、フィルターやろ材に水を通して濁りや微生物を取り除き、その場で飲み水を作る小さな器具です。アウトドアや登山で使われてきましたが、近年は断水への備えとして家庭の防災リュックに加える方も増えています。

この記事では、貯水だけでは足りない場面が生まれる理由から始め、中空糸膜・活性炭・RO・紫外線といったろ過方式の違い、原水に合わせた選び方、ストロー型やボトル型などタイプ別の考え方を整理します。併せて多くの携帯浄水器が苦手とするウイルスへの対処として浄水タブレットや煮沸の組み合わせ方、使い方・手入れ・保管の注意点もご紹介します。製品名ではなく「方式」と「用途」で見比べられるようまとめましたので、ご自身の備えに合うタイプを探す手がかりになればと思います。

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携帯浄水器とは?災害時に「水を作る」備えが要る理由

備蓄水は何リットル用意していますか。一般には飲料水として1人1日3リットル、最低3日分、できれば1週間分が目安とされています。

出典:災害が起きる前にできること(首相官邸)

ただし家族分を揃えると4人家族の1週間分でおよそ80リットルを超えます。2リットルのペットボトルで40本以上となり、置き場所も重さもなかなかのものです。大規模災害では断水が1週間どころか、もっと長引く可能性もあります。手元の備蓄が底をついても給水が再開しない局面は決して大げさな想定ではないでしょう。

そのうえ、給水所まで水をもらいに行けるとは限りません。足が悪い方や小さなお子さんがいるご家庭、給水所が遠い地域では、重い水を運ぶこと自体が大きな負担になります。道路の寸断で給水車が来られない、長い行列に何時間も並ぶといった事態も過去の災害で報告されています。「貯める・運ぶ」だけの備えにはこうした限界がついて回ります。

そこで意味を持つのが「水を作る・きれいにする」という三つ目の選択肢です。携帯浄水器があれば、雨水や近くの川・池の水を、ある程度まで飲める状態に近づけられます。備蓄水を使い切ったあとの長期断水や、避難先で安全な水が手に入りにくいときの保険と考えると、位置づけが見えてくるのではないでしょうか。貯水・備蓄を否定するものではなく、それらが尽きたあとを支える補完の備えと捉えるとよいかもしれません。

水を「ためる・運ぶ」側の備えについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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防犯くん
防犯くん

水って備蓄しておけば大丈夫だと思ってたんだけど、わざわざ浄水器まで要るの?

防災さん
防災さん

備蓄はもちろん大事ですよ。ただ断水が長引くと、溜めた水はいつか底をつきます。そのとき身近な水を飲める形に変えられる手段があると安心の幅が広がるんです。備蓄を補う「もう一段の備え」と考えてみてください。

ろ過方式の違いを知る|中空糸膜・活性炭・RO・紫外線

携帯浄水器と一口に言っても内部で水をきれいにする仕組みはいくつかに分かれます。それぞれ得意な汚れと苦手な汚れがあるので、方式を知っておくと選ぶときに迷いにくくなります。

最も多く使われているのが中空糸膜(ちゅうくうしまく)です。構造としてはストロー状の細い繊維に無数の微細な穴が開いていて、穴より大きいものをこし取ります。孔径はおおむね0.1〜0.2マイクロメートル前後とされ、大腸菌などの細菌やクリプトスポリジウム・ジアルジアといった原虫を高い割合で除去できるとされます。
一方で
ウイルスは細菌よりさらに小さく、孔径をすり抜けるため除去しにくい
点には注意が要ります。アウトドア用フィルターの代表格ソーヤー社の製品でも中空糸膜は細菌と原虫には有効だがウイルスは対象外と案内されています。

出典:Sawyer Squeeze Water Filtration System(Sawyer Products)

つまり中空糸膜タイプ単体では「細菌・原虫は取れてもウイルスには弱い」と理解しておくのが安全でしょう。下水が混じった水や感染症が懸念される状況では、後述する浄水タブレットや煮沸の併用を考えたほうがよいでしょう。

活性炭は、無数の小さな穴に汚れを吸着させる方式です。塩素のにおいやカルキ臭、いやな味、一部の有機物などを和らげるとされ水を飲みやすくする目的でよく使われます。中空糸膜とセットで組み込まれた製品も多く、ろ過と味の改善を両立させます。
ただし活性炭そのものは細菌やウイルスを確実に除去しないので、微生物対策は別の仕組みに頼ることになります。

**RO(逆浸透膜)**は、極めて目の細かい膜に圧力をかけて水を押し通す方式で塩分や重金属、ウイルスまで幅広く除去できるとされます。
性能は高い一方で装置が大きく押し出す力や電源が要るものが多いため、持ち歩くタイプにはあまり向きません。据置型やしっかりした浄水を求める拠点での運用に向いた方式です。

**紫外線(UV)**は、光を当てて微生物の働きを止める方式です。ペン型の機器を水に差し込んで使うものが知られており細菌・ウイルス・原虫の不活化に幅広く対応するとされます。
ただし濁った水では光が届きにくく効果が落ちるため、あらかじめ濁りを取ってから使う前提です。電池や充電も要るのでろ過式と組み合わせるのが現実的でしょう。

このように方式ごとに「取れるもの」と「取りにくいもの」がはっきり分かれます。一つの方式で万能ではなく弱点を別の手段で補い合う発想が大切です。

原水で選ぶ|川・池・雨水・濁り水・水道水

携帯浄水器を選ぶときは、「どんな水を通すつもりか」を先に思い描いておくと失敗が少なくなります。同じ機器でも元の水(原水)のきれいさで向き不向きが変わるからです。

比較的きれいなのは雨水です。落ちてくる過程や屋根を流れる過程で多少の汚れは付きますが、川や池の水ほど濁りや微生物は多くないとされます。雨どいから直接ではなく、いったん溜めて落ち着かせた上澄みを使うとフィルターへの負担を抑えやすいでしょう。

川や池の水は、見た目が澄んでいても微生物や濁りを含むことが少なくありません。とくに上流に人家や畜舎、田畑があると糞便由来の細菌や原虫、ウイルスが混じる恐れがあります。こうした水ならば原虫・細菌をしっかり取れる中空糸膜タイプを基本にしつつ、ウイルス対策の併用手段を用意しておくのが無難です。

濁り水を通すときは、いきなりフィルターに入れないのが鉄則です。CDCやEPAの案内でも濁った水はまず布やコーヒーフィルターでこすか、しばらく置いて沈殿させて上澄みを使うよう勧められています。泥や砂をそのまま通すとフィルターがすぐ目詰まりし、ろ過量も寿命も大きく削られます。プレフィルター(前処理用の粗いフィルター)が付いた機種や別途用意できる機種だと、この前処理が楽になります。

出典:How to Make Water Safe in an Emergency(CDC)

なお、もとが水道水ならば断水前に汲み置きしたものや、にごりの少ない水が対象になります。この場合は味やにおいを整える活性炭付きのタイプでも十分役立つでしょう。
要するに汚れた水を想定するほど微生物除去の能力が問われ、きれいな水が中心なら味の改善が主役になるという形です。汲む先を一つに決めずに複数の水源を想定して余裕のある性能を選ぶと安心かもしれません。

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携帯浄水器のおすすめタイプ|用途別の選び方

次に形状ごとの特徴と向いた使い方を整理します。性能だけでなく「誰が・どこで・何リットルくらい使うか」で選ぶと暮らしに合う一台が見つけやすくなります。在庫や価格は変わりやすいため、ここでは方式とタイプの考え方を中心にご紹介します。

ストロー型は、水に直接ストローを差し込み、吸いながらその場で飲む最もシンプルなタイプです。中空糸膜を採用したものが多く、軽くてかさばらないため、防災リュックに一本入れておく非常用として手軽でしょう。
一方で汲み置きやまとまった量の確保には向かず、基本は「その場で自分が飲む」用途に絞られます。

ボトル型は、ボトルに原水を入れてフィルターを通して注いだり飲んだりするタイプです。ある程度の量をまとめて持ち運べ、コップに移して家族と分けることもできます。日常の水筒と兼ねられる製品もあり、ふだん使いしながら災害時にも備える使い方に向きます。

ポンプ/加圧型は、手押しのポンプや袋を絞る力で水をフィルターに押し通すタイプです。重力任せより速く、まとまった量をこせるので複数人ぶんの水作りに向きます。汲んだ水を別の容器に貯めながら処理できる点も家族や避難所単位で使うときに便利でしょう。

据置・大容量型は、タンクや重力式の袋に水を入れて時間をかけてろ過するタイプです。一度に数リットル単位を処理でき、在宅避難で継続的に水を作りたい場面に向きます。設置場所は要りますが、手をかけずまとまった量を確保できるのが強みです。RO方式の本格的な機器もこの範疇に入ります。

選ぶときは、フィルターの交換目安(処理できる総量や寿命)予備フィルターの入手しやすさも確認したいところです。いざというとき目詰まりして使えなくなっては本末転倒なので、本体だけでなく替えのろ材まで含めて備えると安心でしょう。

防犯くん
防犯くん

種類が多くて迷っちゃうね。とりあえず一個だけ選ぶなら、どれがいいのかな?

防災さん
防災さん

一人ぶんを手軽にであればストロー型かボトル型が始めやすいですよ。家族ぶんをまとめて作りたいならばポンプ型や据置型が頼りになります。使う人数と量から逆算するのがコツです。

在宅避難そのものの備え方は、こちらでも詳しく扱っています。

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浄水タブレット・煮沸との併用|ウイルスと確実性を補う

ここまで見てきたとおり、中空糸膜中心の携帯浄水器はウイルスを取りこぼしやすいという弱点があります。これを補う手段が煮沸と浄水タブレット(消毒剤)です。

最も確実とされるのは煮沸です。WHOは、水を「ぐらぐらと沸騰させる」だけで病原性の細菌・ウイルス・原虫を不活化できると説明しています。EPAは、沸騰してから1分間(標高1,000メートルを超える場所では3分間)沸騰を続けるよう案内しています。濁った水は、先に布やコーヒーフィルターでこすか沈殿させてから沸かすのがよいとされます。火と燃料、鍋が要る点はネックですが、設備さえあれば微生物対策としては最も信頼が置けるでしょう。

出典:Boil water(WHO)Emergency Disinfection of Drinking Water(US EPA)

火が使えないときに役立つのが塩素系やヨウ素系の浄水タブレットです。水に溶かして一定時間置くと多くの細菌やウイルスを消毒できるとされます。
ただし注意したいのは、CDCが「塩素やヨウ素はクリプトスポリジウムやジアルジアといった原虫には効きにくい」と明記している点です。濁った水ではさらに効きが落ちるため、CDCは濁り・色・低温の水では消毒剤の量を倍にするよう案内しています。逆に言えば、原虫はろ過(中空糸膜など)で取り、ウイルスは消毒剤や煮沸で抑えるという分担が理にかなっています。

出典:How to Make Water Safe in an Emergency(CDC)

なお消毒剤の中でも二酸化塩素のタブレットは指示どおり使えばクリプトスポリジウムにも対応できるとされます。フィルターを使う場合は、寄生虫を取り除くために「孔径(絶対値)1マイクロメートル以下」のものを選ぶよう勧められています。いずれにせよ 「ろ過で原虫・細菌、煮沸や消毒剤でウイルス」を組み合わせるのが携帯浄水器を災害で使ううえでの基本姿勢です。一つの手段にすべてを任せずに弱点を埋め合う形で備えると安心でしょう。

使い方と手入れ・保管|逆洗・乾燥・凍結注意

携帯浄水器は買って入れておくだけでは本来の力を発揮できないことがあります。使い方と手入れや保管のクセを知っておくと、いざというとき「動かない」を避けやすくなります。

避けて通れないのが目詰まりです。濁った水を通すほどフィルターの穴は詰まりやすく、だんだん水が出にくくなります。前処理として濁りを落とすのが第一ですが、それでも流量が落ちたら**逆洗(バックフラッシュ)**が有効です。多くの中空糸膜製品には、きれいな水を逆向きに押し込んで詰まりを洗い流す付属品や手順が用意されています。使用後にこまめに逆洗しておくと流量を保ちやすく寿命も延ばしやすいでしょう。

保管で気をつけたいのが乾燥とカビです。使ったあとのフィルター内部は湿ったままになりやすく、濡れた状態で密閉して放置すると雑菌やカビが繁殖する恐れがあります。使用後はよく水気を切り、風通しのよい場所でしっかり乾かしてから収納するのがよいとされます。長期保管前は製品の指示に従って洗浄・乾燥させておくと安心です。

もう一つ見落としがちなのが凍結です。中空糸膜は内部に水を含んだまま凍ると、氷の膨張で繊維が壊れ、ろ過性能が損なわれることがあります。見た目では割れがわからないこともあり知らず使い続けると危険です。冬の車内放置や屋外保管は避けて寒冷地では凍らない場所に置くのが無難でしょう。一度凍らせた疑いがあれば、安全を優先して交換を検討したほうがよいかもしれません。

備える水そのものの考え方やためる量の目安は、ウォーターサーバーの活用記事もヒントになります。

ウォーターサーバーは停電/災害時の備蓄用水としても便利
ウォーターサーバーを災害時の備蓄用水として活用する方法をご紹介します。人間が1日に必要な最低2.5Lの水の確保に役立ち、機種によっては停電時でも使用できます。防災備えの一つとして導入を検討してみてください。

まとめ

携帯浄水器は、貯水・運搬では補いきれない「水を作る」役割を担う、長期断水や避難時の保険となる備えです。最後に要点を整理します。

  • 備蓄水は1人1日3リットル・最低3日分が目安だが、長期断水や給水所に行けない事情に備えるなら「水を作る」手段も検討したい
  • 中空糸膜は細菌・原虫に強い一方ウイルスは除去しにくい。活性炭は味の改善、ROやUVは幅広く対応するが装置や電源が要る
  • 原水の濁りに応じて前処理(こす・沈殿)が必要で濁り水を想定するほど除去性能とプレフィルターが重要になる
  • タイプは一人用のストロー・ボトル型、家族用のポンプ・据置型と、使う人数と量で選ぶ。替えフィルターまで含めて備える
  • ウイルスと確実性は煮沸(最も確実)や浄水タブレットで補い、「ろ過で原虫・細菌、煮沸や消毒剤でウイルス」を組み合わせる
  • 使用後は逆洗・乾燥でカビと目詰まりを防ぎ、凍結による破損に注意して保管する

一台で何もかも賄える道具ではありませんが、弱点を理解して別の手段と組み合わせれば断水時の心強い味方になってくれるでしょう。ご家庭の人数や想定する水源に合わせ、無理なく続けられる備えを選んでみてください。