地震・雷・火事・親父の意味と由来|怖い順を統計で検証

夜空に走る稲妻と雷雲 防災対策
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「地震・雷・火事・親父」ということば、子どもの頃に聞いたことありますか?

世の中の「怖いもの」を、おおよそ恐ろしい順に並べたとされる言いまわしです。最後の「親父」だけ自然災害ではなく人間で、なんだか不思議な並びだと感じたことのある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、このことわざの意味と由来を整理し「親父」をめぐる諸説を紹介します。さらに「怖い順」とされる並びが実際の被害データと合っているのかを公的な統計で答え合わせし、最後に防災に生かすヒントまでまとめました。

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「地震・雷・火事・親父」の意味

「地震・雷・火事・親父」は、世の中で恐ろしいもの、人の力では逆らえないものを怖い順に並べたとされることわざです。

文献の上では、思った以上に古いことばであり1831年(天保2年)の『尾張童遊集(おわりどうゆうしゅう)』に見られ、江戸時代後期には名古屋あたりの子どもたちがこの言葉を口ずさんでいたと伝えられています。古くから人々の暮らしのなかに根づいてきた言いまわしだといえます。

地震・雷・火事という自然の脅威に家庭で強い権威を持っていた父親を並べることで、「逆らえないもの」を覚えやすく、少しユーモラスに言い表したものと考えられています。怖いものを数え上げる言葉遊びは古くから各地にあり、その代表格として今日まで親しまれてきました。リズムよく唱えられるため子どもにも覚えやすかったのでしょう。

「親父」は本当に父親? ― 由来をめぐる諸説

おもしろいのは最後の「親父」の解釈です。一般には「かみなり親父」のように恐い(怖い?)父親をたとえたものとされています。

一方で、「親父」は元来 強い風を指す「おおやまじ(大山風)」がなまったもので、本当は四つとも自然災害だった、という説も知られています。この説に従うと「地震・雷・火事・大風(台風)」となり、ぐっと防災色の強い並びになります。

ただし注意したいのは、この「大風」説には、確実な出典がまだ見つかっていないという点です。国立国会図書館のレファレンス事例でも、複数の辞典を調べた結果、語源を裏づける記述は確認できなかったと報告されています。気象の専門家が「おおやまじ(大きい風=台風)がなまったという説もある」と述べた例はあるものの、もとをたどれる一次資料は特定されていません。出典がはっきりしないからといって説そのものが間違いとは限りません。ことわざの由来には、こうした「確かめようがないけれど、もっともらしい話」がよくあります。

防犯くん
防犯くん

じゃあ「親父=台風」って、本当かどうか分からないんだ?

防災さん
防災さん

そうなんです。もっともらしく語られますが確かな出典は見つかっていません。ことわざの由来は、はっきりしないものが多いんですよ。だからこそ「諸説あります」と添えるのが誠実だと思います。

「怖い順」は本当か? 実際のデータで答え合わせ

では「地震・雷・火事」の並びは、実際の被害の大きさと合っているのでしょうか。公的な統計を手がかりに見てみましょう。結論から先に言うと並びは「年間の死者数の順」とは必ずしも一致しません。けれども、その“ズレ”をたどっていくとそれぞれの災害の性格と、私たちが取るべき備えが見えてきます。

火事:毎年およそ1,500人

消防庁の資料によると、令和5年(2023年)中の火災による死者は1,503人にのぼります。毎年これだけの方が火災で命を落としており、しかもその約7割を65歳以上の高齢者が占めています。火事は「身近で、毎年確実に起きている災害」だといえます。逃げ遅れを防ぐには火災にいち早く気づくことが何より大切です。とくに就寝中は煙に気づきにくいため、住宅用火災警報器の役割が大きくなります。

出典:令和6年版 消防白書(総務省消防庁)

雷:数は少ないが、油断はできない

落雷で命を落とす人は火災に比べると大幅に少なくなっています。とはいえ毎年ゼロではなく屋外で雷に遭えば命に関わります。開けた場所やグラウンド、山や海辺などの周囲に高いものがない場所では人に落ちやすくなるため、注意が必要です。「数が少ない=安全」ではないのが雷のこわさです。

日本は夏から初秋にかけて積乱雲(入道雲)が発達しやすく、この時期に落雷が集中します。登山中や釣り・海水浴などの水辺での活動中は特に注意が必要です。水や金属は電気を通しやすく落雷の電流が広い範囲に伝わることがあります。釣り竿や長い傘など細長いものを持っていると避雷針と同じ役割をはたしてしまうこともあります。「雷くらい大丈夫」と軽く見て屋外に留まることが最も危険な判断です。

また人への直接の被害だけでなく、近くへの落雷で家電やパソコン、通信機器が壊れる「雷サージ」の被害も起こります。雷は遠くで鳴っていても、十数分のうちに頭上へ近づくことがあります。「ゴロゴロ」と聞こえたら早めに頑丈な建物や車の中へ移ることが一番の対策です。

地震:めったに起きない、でも一度の被害は桁違い

地震は火事のように毎年多数の死者が出るわけではありません。しかしながら大地震が起きると被害は一気に桁違いの大きさになります。

1923年の関東大震災では、死者・行方不明者は約10万5,000人に達しました。これは火事の年間死者のおよそ70年分にあたります。「めったに起きないが起きると取り返しがつかない」――これが地震の本当の怖さです。

1995年の阪神・淡路大震災では建物の倒壊による圧死が、2011年の東日本大震災では津波による被害が多くを占めました。同じ「地震」でも被害の出方は場所や時代によって大きく変わります。だからこそ地震そのものだけでなく、地震が引き起こす二次災害まで見すえた備えが欠かせません。海沿いや川の近くにお住まいの方にとっては大きな揺れを感じたら迷わず高台へ逃げる「津波への備え」もセットで考えておくことが大切です。

出典:令和5年版 防災白書(内閣府)

見落とされがちな事実 ― 「地震」と「火事」はつながっている

ここで諺(ことわざ)を読むうえで大切な視点があります。地震と火事は別々のものではないということです。

先ほどの関東大震災では、約10万5,000人の死者・行方不明者のうち約9万人が火災によるものと推計されています。つまり犠牲の大半は、地震そのものよりも地震が引き起こした火災によるものでした。

「地震・雷・火事」と並んでいると、それぞれ独立した災害のように見えます。しかしながら実際には、地震が火事を呼び、被害を何倍にも広げることがあります。大きな地震のあとは、停電からの復旧時に起きる「通電火災」など、あちこちで同時に火災が発生し消防の手が回らなくなることもあります。一つひとつの火が小さくても同時に多発すれば消火は追いつきません。

だからこそ地震への備えと火災への備えはまとめてセットとして考える必要があるのです。

ことわざが本当に伝えたかったこと

こうして調べていくと「地震・雷・火事・親父」は、厳密な「こわさの順位表」ではないことが分かります。年間の死者数だけを見れば火事が多く地震はめったに起きません。それでも、このことばが長く語り継がれてきたのは **「人の力では逆らえない自然の脅威に、畏れと備えを忘れるな」**という思いが込められているからではないでしょうか。順位を競うためではなく、自然への謙虚さを思い出させてくれる――そんな知恵として読むと古いことわざも今に生きてきます。

また「地震・雷・火事・親父」を改めて眺めると、これらが互いにつながっていることも見えてきます。地震が火事を呼び、津波をも引き起こす。雷が火事を起こすこともある。一つの備えが複数の災害に応用できるのは、こうした連動性があるからです。「どれかに備える」ではなく「どれにも備える」という意識が、このことわざの本当に伝えたかったことかもしれません。

ちなみに、かつて怖いものの代表だった「親父」の存在感は、残念?ながら時代とともに変わってきました。(昭和のおやじと令和のおやじは全く違いますね)
現代版の「こわいもの」は何だろうと考えてみるのも防災を自分ごととしてとらえるよいきっかけになるかもしれません。

今日からできる、それぞれの備え

ことわざを「昔の言葉」で終わらせず、ひとつずつ備えに変えていきましょう。難しいことは要りません。気になった災害から、できることを少しずつ始めれば十分です。

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まとめ

「地震・雷・火事・親父」について、意味と由来、そして実際のデータとの答え合わせを見てきました。

  • 意味:世の中のこわいもの・逆らえないものを並べたことわざ。『尾張童遊集』(1831)に見られる
  • 「親父」の由来:こわい父親説のほか「大風(台風)」説もあるが、確実な出典は見つかっていない
  • データで答え合わせ:火事は年に約1,500人、地震はめったに起きないが一度の被害が桁違い
  • 見落としがちな事実:関東大震災の死者の大半は火災。地震と火事はつながっている
  • 受け取りたいメッセージ:順位よりも「どれにも備えが必要」という畏れと用心

こわさを比べて終わりにするのではなく、それぞれにできる備えがあることを思い出させてくれることばでもあります。順位そのものより「どれも備えが必要だ」というメッセージを受け取りたいことわざです。気になった災害からご家庭の備えを見直してみてはいかがでしょうか。