盛土と切土の見分け方|自宅の造成地リスクを地図で確認する方法

造成された住宅地の斜面と擁壁 防災対策
この記事は約10分で読めます。

うちの土地って昔なんだったんだろう、と気になったことはありませんか? 2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流では、上流部の盛土が崩落し多くの家屋が押し流される事故が発生しました。 この記事ではまず盛土と切土の違いを家庭目線でおさらいし、次に自宅の土地が該当するかを確かめる方法と今夜からできる備えの整え方までを一続きで案内していきます。 すでにマイホームを持っておられる方はもちろん、賃貸マンションにお住まいの方も建物が建つ土地の素性を知っておくと避難の判断が少し早くなると思います。 なお、数字で不安を煽るのではなく調べて備える形に落とし込むようにしています。

スポンサーリンク

盛土と切土は何が違うのか──「うちの土地、実は盛土かも?」と気になった方へ

元の斜面を平らにする2つの方法

そもそも造成宅地とは何かを思い浮かべてみましょう。 もとは丘のように凹凸のある斜面だった土地を住宅を建てやすい平らなひな壇に整える作業が造成です。この過程で高い側の土をノコギリで水平に切り落とし、その削った土を低い側に積んで高さを揃えるイメージが基本になります。 このとき削って低くした側が切土、積んで高さを稼いだ側が盛土と呼ばれます。

同じひな壇に見えても家の下の地盤は片側が「もとから存在した地面」、もう片側が「あとから積んだ土」と成り立ちがまったく違うことがある点が造成地の特徴です。 国交省の資料でも大規模な造成では谷や斜面を埋めて宅地を作るケースが多く、その盛土部分が地震の影響を受けやすい範囲として整理されています。出典:国交省『大規模盛土造成地マップについて』

なぜ盛土の方が崩れやすいと言われるのか

盛土が切土より弱いとされる理由は大きく3つに分類されます。 1つ目は締固め不足で、新しく積み上げた土は元の地盤に比べて密度が低くなりがちで、地震の揺れで沈下や変形を起こしやすい傾向があると案内されています。 2つ目は地下水の集中で、周囲から流れ込んだ雨水や地下水が盛土の内部にたまりやすい構造になることがあり、含水が進むほど強度が落ちるとされています。 3つ目は境界での滑り面で、もとの地形と新しく積んだ土の境目は性質が違うため、その面に沿って土がすべる「盛土のすべり」が起きやすいという見方もあります。

これらは「そういう傾向がある」と案内されている話であり、すべての盛土がただちに危険というわけではありません。 国土交通省の家庭向け資料でも盛土のなかにも適切に締固められ排水対策が施されているものはあり、まずは自分の土地がどちらに該当するかを把握することが第一歩だと整理されています。出典:国交省『わが家の宅地安全マニュアル』

防犯くん
防犯くん

盛土って全部危ないの?切土なら安心なのかな?

防災さん
防災さん

一概にそうとは言い切れません。盛土でも適切に締固められていれば強度が確保されている場合もあり、逆に切土でも風化した岩盤や地下水位の高い箇所では崩れる余地があるとされています。だから「調べる」ことが大切なんです。

熱海土石流と盛土規制法(背景理解)

事故で問われた「造成地の安全」

2021年7月3日に静岡県熱海市伊豆山で発生した土石流では、逢初川の源頭部にあった盛土が崩落し、多くの家屋が押し流される深刻な被害が報じられました。 原因については行政の検証や司法の場で解釈に幅が残っていますが、上流部の盛土が土石流の発生に関与したとされている点は共通して指摘されてきました。この事故をきっかけに造成宅地の安全性を家庭レベルでも意識する動きが広がったのではないでしょうか。

土砂災害の前兆と備え|警戒区域の調べ方と避難のタイミング
土砂災害の前兆と備えを土石流・がけ崩れ・地すべりの3種類別に解説します。前兆なしに起こることも多いため警戒区域の調べ方・警戒レベルでの避難判断・夜間の屋内安全確保まで家庭目線でまとめました。

2023年施行の盛土規制法で何が変わったか

熱海の教訓を受けて国は関連法制を全面的に見直し、正式名称「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)」を令和5年5月26日に施行しました。 危険な盛土等を包括的に規制する区域を都道府県知事等が指定でき、盛土に対する許可制も強化されました。あわせて従来の「宅地防災マニュアル」は「盛土等防災マニュアル」に改組され、事業者や自治体向けの技術基準が更新されています。出典:国交省『盛土規制法(法令・通知等)』

ただし、法の対象は新たな造成が中心であり施行より前に造成された既存の盛土宅地は今もそのまま残っています。 参照できる令和7年3月31日時点の集計として、全国1,003市区町村・51,306カ所・約10万haの大規模盛土造成地マップが公表と案内されており、家庭側でも自宅の土地が該当するかを調べる意義は残ります。出典:国交省『大規模盛土造成地マップ公表状況等について』

防犯くん
防犯くん

規制ができたなら、もう危ない盛土は無くなったの?

防災さん
防災さん

新規の造成には厳しい基準が適用されるようになった一方で法施行より前に作られた既存の造成地は今もそのまま残っています。だから「自分の家がその上にあるかを調べる」ことが良いかもしれませんね。

自宅が盛土かを地図で確認する3ステップ

自宅の土地が盛土に該当するかは、公表されている地図資料をたどれば家庭でもかなりの精度で見当をつけられるようです。ここでは国交省ポータル→自治体の詳細マップ→今昔マップという3ステップで進めていきます。

ステップ1: 大規模盛土造成地マップ(国交省)で分布を見る

まずは全国の入口となる国交省のポータルにアクセスしてみましょう。 こちらでは全国どの都道府県・市区町村で大規模盛土造成地マップが公表されているか、その一覧を確認できます。自分の住む都道府県名を探し、リンク先の情報を追っていくのが最初のとっかかりになります。出典:国交省『大規模盛土造成地マップ公表状況等について』

全国分布の概観も併せて見ておくと、自分の地域の位置づけがつかみやすくなります。 国交省では造成地の全国分布状況を整理した資料も公表しており、都市部を中心に多くの造成地が広がっている様子が示されています。出典:国交省『全国の大規模盛土造成地の分布状況』

ここで知っておきたいのは、公表状況には都道府県ごとにバラつきがあるという点です。 すでに詳細な地図を公表している自治体もあれば、調査段階にとどまる地域もあると整理されています。「マップが見つからない=安全」ではなく「その自治体ではまだ公表されていない可能性がある」と受け止めた方が良いかもしれません。

ステップ2: 自治体の詳細マップで番号と範囲を確認

都道府県ポータルから自宅のある市区町村の詳細地図へと進んでいきます。 詳細地図には、大規模盛土造成地ごとに番号(造成地IDと呼ばれます)と範囲が示されており、地図上のどのエリアが該当するかをひと目で確認できるように整理されているのが一般的です。

まず1つ目は、自宅の敷地全体が該当地内に入っているかどうか、2つ目は敷地の一部だけが境界にかかっていないかです。 全体がすっぽり入っている場合と境界線が敷地の途中を横切っている場合とでは、想定しておきたい備えの重さが変わる可能性があります。番号(造成地ID)はメモしておくと後で自治体窓口に相談する際にもスムーズです。

もう一点大切なのが、該当していたからといって即「危険」ではないという受け止め方です。大規模盛土造成地マップはあくまで「調査すべき候補地」を可視化した資料であり、そこから個別の安全性評価(第二次スクリーニング等)へと進んでいく段階の場合もあると整理されています。まずは分布を知ったうえで次の一手を検討する材料と捉えるのがよいでしょう。

ハザードマップの見方と警戒レベル|大雨・台風で迷わず動くための基礎知識
ハザードマップの見方と警戒レベルについて、大雨・台風前に知っておきたい基礎知識をまとめました。国土地理院ポータルの使い方、警戒レベル5段階の意味、垂直避難の選択肢、マイ・タイムラインの作り方まで解説します。
火山ハザードマップの見方|4ステップで自宅周辺リスクを今すぐ確認
火山ハザードマップの見方を探す・開く・読む・備えるの4ステップで実践解説します。国交省・気象庁・自治体の3情報源の使い方、凡例の読み方、リスク圏内の備え、よくある勘違い3つを公的資料をもとにまとめました。
防犯くん
防犯くん

自治体のマップって住所を入れれば自宅がすぐ出るの?

防災さん
防災さん

自治体によって公表の仕方は違います。PDFで地図画像を配布しているところもあれば、Web地図でズームして確認できるところもあります。「(お住まいの市区町村名)大規模盛土造成地」で検索すると入口が見つかりやすいかもしれません。

ステップ3: 今昔マップで昔の地形を重ね見(補助資料)

もう一歩踏み込みたい方には、今昔マップという補助ツールが便利です。 明治期以降の古い地形図と現在の地図を並べて重ね見ることができるサービスで地域の地形がどう変わってきたかを目で追うことができます。出典:今昔マップ on the web

見方はシンプルです。現在の地図で自宅の位置を確認したら、同じ画面で明治・大正・昭和期の古い地形図を切り替えてみます。もし今住んでいる場所が、昔は谷筋だったり田んぼ・沼地・河川だったりした場合には、その低い場所を埋めて造成された可能性があるとも読み取れます。造成地マップに載っていない小規模な盛土でも、旧地形からヒントが得られる場合があります。

より詳しい液状化リスクや旧河道の読み方については、以下の記事「旧河道・埋立地・液状化リスクの調べ方」で手順を整理しています。地形だけでなく地盤の水気の観点でも自宅を診断すると、より立体的にリスクを掴めると思います。

404 NOT FOUND – 防災さんと防犯くん
突然の災害にも備えあればうれいなし

📍 マップの見方 早見メモ

  • 番号(造成地ID)と範囲の目安が示されている
  • 自宅の敷地全体が該当地内か・境界にかかるかを確認
  • 該当していても即「危険」ではない・調査が進んでいる段階の場合もある

盛土に該当した/しなかった、それぞれの備え方

該当する場合: ハザードマップ・家具固定・防災セット・保険見直し

もし自宅が大規模盛土造成地マップに載っていたら、

  • 市区町村のハザードマップで揺れやすさ・液状化・土砂災害の重ね合わせを見比べておきます。
  • 家の中の家具固定を進めます。震度6強クラスの揺れでは家具の転倒・移動が負傷の主要因になるとされており、寝室とリビングから優先して固定していくのがよいでしょう。
  • 防災セットを家族人数分そろえておきます。避難所生活と在宅避難のどちらにも対応できる中身が理想です。手軽に始めたい方には「転がす」「背負う」「持つ」3WAYキャリーリュック採用 ものすごい防災セットシリーズ も候補になります。
  • 保険の見直しです。火災保険に地震保険を上乗せしておくと地震・噴火・津波を原因とする火災や損壊が補償対象とできることがあります。 液状化被害の補償や査定の考え方はこちら。
自宅において地震が発生…家で行うべき対策方法は?
自宅で地震が発生したときに取るべき行動を時系列で整理しました。緊急地震速報が出た瞬間・揺れている最中・収まった後の対策と日頃から備えておきたいポイントを公的情報をもとに解説します。
家具転倒防止グッズおすすめ|地震対策の選び方と使い分け
地震の負傷者の3〜5割は家具の転倒・落下が原因とされます。家具転倒防止グッズの種類ごとの選び方と家具別の使い分けをわかりやすく解説。突っ張り棒・耐震マット・L字金具を組み合わせる考え方も紹介します。

該当しない場合: 過信せず土砂キキクル運用・家具固定は共通

該当地でなくても豪雨時の土砂災害リスクは地形に強く左右されることがあります。気象庁の土砂キキクル(大雨警戒判定メッシュ情報)では1kmメッシュ単位の危険度が色分け表示されており、外出前や就寝前にサッと開く運用が有用だと整理されています。 公式解説ページでも、色が濃くなってきた段階で早めの避難行動を呼びかける。加えて家具固定は盛土に該当するかを問わず全世帯に有効な基本対策とされていますので、こちらの優先順位は下げずに進めておきましょう。

土砂災害の前兆と備え|警戒区域の調べ方と避難のタイミング
土砂災害の前兆と備えを土石流・がけ崩れ・地すべりの3種類別に解説します。前兆なしに起こることも多いため警戒区域の調べ方・警戒レベルでの避難判断・夜間の屋内安全確保まで家庭目線でまとめました。
防犯くん
防犯くん

盛土じゃなければ、そんなに気にしなくていいの?

防災さん
防災さん

盛土でなくても、切土でも風化した岩盤や地下水位の影響で崩れる余地はあると案内されています。豪雨時には気象庁の「土砂キキクル」でリアルタイムの危険度を確認するのが良いですよ。

賃貸マンションにお住まいの方は物件選びから

賃貸マンションにお住まいの方は造成地の履歴を自分で調べにくい立場にあります。管理会社が土地の履歴を把握していない場合もあります。入居後は、家具固定と防災セットの用意で自衛範囲を広げていくのが基本になります。

賃貸アパートの防災|原状回復OKの家具固定と備え4点
賃貸アパート防災は壁に穴を空けない家具固定が望ましいです。国土交通省「原状回復ガイドライン」を出典に突っ張り棒2本ペア・粘着耐震マット・賃貸OK窓フィルム・転倒防止ベルトの4点と退去時清算回避テクを解説しました。
防災士厳選の防災グッズ39点セット【ディフェンドフューチャー】

揺れが増幅されやすい地盤で今夜からできる3つの備え

そもそも日本は世界の面積に対して大きな地震の回数が突出して多い国とされています。地盤の判定がどちらに転んでも備え自体は必要になります。

日本の地震災害が世界で占める割合と被害の関係
日本は世界の地震のうちどのくらいの割合を占めているのでしょうか。内閣府のデータをもとにマグニチュード6.0以上の地震回数・死者数・被害額が世界に占める割合を紹介し日本の地震と被害の関係をわかりやすく解説します。
  • 家具固定:震度6強以上の揺れでは家具の転倒・移動が主な負傷原因になり得ます。L字金具・突っ張り棒・耐震マットなどを寝室・リビングから優先して進めていくのがおすすめです。
  • 防災セットの用意:1人1つ・玄関か寝室近くに置いておくと夜間の停電下でも持ち出しやすくなります。3日分の水と食料、簡易トイレ、防寒用アルミシートなどの準備。
  • ポータブル電源の常備:大きな地震のあとは停電が数日続く可能性もあるため、スマホ充電・照明・小型家電を賄える1,000Wh前後の電源を準備しておく。停電時のスマホは、家族との安否確認や避難情報の受信で命綱になり得ます。

まとめ|地盤の情報を「調べて備える」に変える

盛土に該当していても即危険と決まるわけではなく、切土だからといって完全に安全とも言い切れません。大切なのは地盤の情報を「なんとなく不安」から「調べて備える」に変えることが必要かもしれません。

盛土切土以外の旧河道・液状化についてはこちらもどうぞ。

404 NOT FOUND – 防災さんと防犯くん
突然の災害にも備えあればうれいなし
  • 1人用に必要十分な36種39点
  • 14,800円とコスパに優れる
  • 救助が届くまでの約3日間を1人で過ごす想定
  • 保存水500ml×4本(5年保存)
  • アルファ米3種・野菜カレー・ようかんを用意
  • 凝固剤のいらない簡易トイレ3回分
  • 手回し・USB・乾電池の3WAYダイナモLEDライト(モバイルバッテリー兼用)
  • エアマット・アルミブランケットも付属
  • 容量22Lの撥水リュック
  • 防災士監修・5年保証
  • 防災士監修で1人用31種65点の充実度
  • 携帯トイレ・保存水・保存食・ラジオライトなど必需品を幅広くカバー
  • 手回し+モバイルバッテリー機能つきラジオライト
  • 30〜35Lのリュックは止水ファスナー・撥水・反射板つき
  • 1人用〜2〜3人用、ベビー・キッズ・ファミリー向けまでライン豊富
  • キャリー型もあり高齢の方や赤ちゃん連れの避難にも配慮
  • 楽天ランキングで第1位の実績あり
  • 企業・団体への納品実績あり
防災セットおすすめ比較|本当に必要な中身で選ぶ用途別ガイド
防災セットおすすめを「本当に必要な中身が入っているか」で比較しました。LAPITAとDefend Futureの完成品セットを必需品カバー率と用途別に解説し、不足しがちな携帯トイレの足し方まで紹介します。