持ち出し袋の救急用品はばんそうこう数枚だけで他には何も準備していない…。
災害時は医療機関も被災する可能性が高くすぐに受診できないことも考えられます。被災時は切り傷やすり傷、靴ずれといった軽いけがを自分で手当てする場面が増える可能性も高くなるので防災の救急セットはきちんと中身を備えておきたいですね。この記事では中身リストの作り方とおすすめの3タイプ、期限切れを防ぐ点検のコツまでご紹介します。
なぜ防災に救急セットが必要なのか
大きな災害後、病院や薬局も被災したり混み合ったりして普段のようにすぐ受診や購入ができないことが考えられます。避難や片付けの最中はガラス片や転倒などで軽いけがをしやすい状況も重なります。
内閣府の備えのチェックページでも非常持ち出し品の例として飲料水や非常食とならんで常備薬が挙げられています。救急用品と常備薬は水や食料と同じ「持ち出し袋の基本セット」の一員といえます。
この記事は「グッズの備え方」の記事ですので、止血のしかたや包帯の巻き方といった手当ての方法そのものは消防署や日本赤十字社の講習・公式情報で学ぶのが安心です(記事の後半でご案内します)。また意識がない・出血が多いなど重い症状のときは手当てより先に迷わず119番してください。
持ち出し袋全体の中身リストはこちらの記事でまとめています。本記事は中でも「救急・常備薬」に対してとなります。

救急セットの中身リストと選び方
「家に救急箱があるから大丈夫」と思われるかもしれません。ただし家庭の救急箱と防災の救急セットは似ているようで前提が異なります。
| 観点 | 家庭の救急箱 | 防災の救急セット |
|---|---|---|
| 置き場所 | 家に据置き | 持ち出し袋・バッグに入れる |
| 重さ・大きさ | あまり気にしない | 軽さ・コンパクトさ優先 |
| 包装 | 大容量・開封済みも混在 | 滅菌・個包装が基本 |
| 使う場面 | 水道が使える自宅 | 水が自由に使えない避難先も想定 |
| 点検 | 気づいたとき | 持ち出し袋ごと定期点検 |
この違いを踏まえた基本の中身の例がこちらです。
基本の中身チェックリスト(例)
- 傷の保護:ばんそうこう(大小複数サイズ)・滅菌ガーゼ・包帯・サージカルテープ
- 洗浄・清潔:傷口洗浄に使える精製水や洗浄液・清浄綿やウェットシート・使い捨て手袋
- 道具:小さなはさみ・ピンセット・とげ抜き・安全ピン
- 体調の確認:体温計・マスク・冷却シート
- 個人のもの:常備薬・お薬手帳の写し・健康保険証の写し
このうち常備薬は自己判断で増やさず、かかりつけ医や薬剤師に相談して準備しましょう。持病の薬は処方内容が変わることもあるため、お薬手帳の写し(スマホでの撮影でも)をセットに入れておくと避難先での受診や調剤のときに役立ちます。
家族構成に合わせた追加
- 子どもがいる家庭:小さめのばんそうこう・母子手帳の写し。子どもの備え全体は別記事でどうぞ
- 高齢の家族:常備薬の予備・処方内容のメモ・予備の眼鏡
- ペット:人用と共用できない物があるため、ペット用は別に考えます


選び方の4ポイント
- 滅菌・個包装の製品か(衛生的に長く備蓄できる)
- 軽くてかさばらないか(持ち出し袋の重さは合計で効いてくる)
- 中身が見える・取り出しやすいケースか(緊急時に探さない)
- 補充しやすい定番品で構成されているか(使った分を買い足せる)
また気を付けておきたいのが入れすぎです。あれもこれもと足すと救急ポーチだけで重くなり持ち出し袋全体の負担が増えてしまいます。救急ポーチは片手に収まるサイズ・数百グラム程度を目安にリストにある「例」から自分の家族に必要な物を取捨選択しましょう。マスクやウェットティッシュは持ち出し袋の衛生カテゴリと重なるため、袋全体でどちらかにあればよいと整理すると軽くできます。

家にある救急箱をそのままリュックに入れちゃだめなのかな?

据置きの救急箱は重くてかさばるうえ、開封済みの物が混ざっていることも多いんです。防災用は軽さと滅菌・個包装を優先して持ち出し袋に入れっぱなしにできる形で別にそろえるのがおすすめですね。
防災の救急セットおすすめ3タイプ
中身を一つずつ揃えるのが大変なら市販のセットから始めるのが近道です。防災の救急セットのおすすめは使う場面で3タイプに分かれます。いずれも医薬品を含まない衛生材料のセットを前提に選んでいます。
① 持ち出し袋用の標準キット
ばんそうこう・ガーゼ・包帯・テープなど30〜60点前後の衛生材料がコンパクトなポーチにまとまった定番タイプです。持ち出し袋の「救急・常備薬」枠にそのまま収まり最初の1個に向いています。
中身の一覧表が付属しているものだと何が入っているか家族にも分かり、使ったあとの補充の目安にもなります。ここに常備薬とお薬手帳の写しを自分で足せば基本のセットが完成します。
② 携帯ミニポーチ(ふだん持ち歩く0次の備え)
通勤バッグやお出かけバッグに入れておく最小構成のタイプです。ばんそうこう・ガーゼ・テープ程度のシンプルな中身で靴ずれや指先の小さなけがなど、ふだんの暮らしでもそのまま活躍します。
「災害のためだけの物」にならないので無駄になりにくく防災を始めたばかりの方にも取り入れやすいタイプです。ふだん持ち歩く防災ポーチ全体の作り方はこちらの記事も参考にしてみてください。
③ 在宅避難用の大容量タイプ
家族の人数×数日分を想定した家に据え置く大容量タイプです。在宅避難では持ち出し袋を開けずに済むように持ち出し用と家用を分けておくと管理がしやすくなります。
リビングや寝室など家族みんなが場所を知っているところに置き、中身リストを貼っておくと誰でも迷わず使えます。災害後は割れ物の片付けなどで日常より軽いけがが増えやすく、ばんそうこうやガーゼの消耗も早くなりがちです。家用は「少し多めかな」と感じる量を目安にしておくと安心につながります。
携帯タイプの文脈で触れた「0次の備え」はこちらで解説しています。

使用期限と点検・運用のコツ
救急セットは「買って入れたら終わり」になりやすい持ち物です。次の運用をセットにするといざというとき使える状態を保てます。
- 年2回の点検日を決める:防災の日(9月1日)と年末などは持ち出し袋の点検と同じ日に行うことにしておく。滅菌品の使用期限・ウェットシートの乾き・テープの粘着の劣化・ケースの破れや汚れを確かめます
- 使ったら補充する:ふだん使いした分は近日中にに買い足す習慣にしましょう
- 常備薬は定期的に見直す:処方が変わったら中身とお薬手帳の写しも更新します。準備や入れ替えは、かかりつけ医や薬剤師に相談しながら進めましょう
- 中身リストをケースに貼る:何がどれだけ入っているか一目で分かり、家族の誰でも使えて点検も早くなります
- 保管環境にも気を配る:高温多湿はテープや薬剤の劣化を早めるとされています。直射日光の当たる場所や夏に高温になる車内への置きっぱなしは避け、車に置くなら点検の頻度を上げましょう
そしてグッズが揃ったら、次は使い方を学ぶ番です。手当ての方法は日本赤十字社の救急法講習などでけがの手当てや止血・包帯の使い方を実技で学べます。お住まいの地域の消防署でも応急手当の講習が開かれています。

せっかくそろえても、いざというとき使い方が分からなかったらどうしよう。

そうですよね。手当ての方法は消防署や日本赤十字社が講習を開いています。グッズの備えと使い方の知識はセットではじめて役に立つとされていますよ。重いけがのときは迷わず119番です。
まとめ
防災の救急セットの中身リストの作り方とおすすめ3タイプをご紹介しました。最後に要点を振り返ります。
- 家庭の救急箱とは別物:軽さ・滅菌個包装・水が使えない前提で、持ち出し袋用に別途そろえる
- 中身は「例」から自分仕様に:基本リスト+家族構成別の追加。常備薬はかかりつけ医・薬剤師に相談
- 3タイプから選ぶ:①持ち出し袋用の標準キット ②携帯ミニポーチ(0次) ③在宅避難用の大容量
- 年2回の点検と補充:期限・劣化を確かめ使ったら買い足す。中身リストをケースに貼る
- 使い方は講習で:手当ての方法は日赤や消防署の講習で。重い症状は迷わず119番
まずは持ち出し袋の救急ポーチをひとつ、中身リストを作るところから始めてみてはいかがでしょうか。


